2019年1月13日日曜日

研究紹介: 外国人としての「私」と移民教育への課題意識

林寛平「解題:スウェーデンにおける外国人児童生徒の教育課題」, 近藤孝弘・中矢礼美・西野節男(編)『リーディングス 比較教育学 地域研究 多様性の教育学へ』(東信堂, 2018)


 本稿は日本比較教育学会第50 回大会の課題研究「外国人児童生徒の教育課題―日欧比較―」における報告をベースに起稿したもので、スウェーデンの寛容な移民政策の歴史的背景とそれを実現する制度と実践を理解し、課題を整理することを目指した。集団移民時代の経験、労働移民受け入れの条件、社会民主主義イデオロギーの3 点から歴史的展開を検討した(本文詳細はこちら)。外国人児童生徒の学習権保障の実践としては、母語教育、母語による学習ガイダンス、第二言語としてのスウェーデン語教育の各施策の法的根拠と実施状況を述べた。そのうえで、外国人児童生徒が直面する教育課題として、学力格差、スクール・セグリゲーションの進展、学校と家庭におけるアイデンティティの齟齬の3 点を指摘した。2016 年に出版された園山大祐( 編)『岐路に立つ移民教育―社会的包摂への挑戦』( ナカニシヤ出版) では、写真等を用いて加筆している(紹介文はこちら)。これらは多国間比較の一部として執筆したため、客観的な説明に偏っている面がある。そのため、この解題では生活者視点で補足することで、立体的な理解の一助としたい。

 本稿の課題意識の源流にはスウェーデンに2 度留学し、外国人として暮らした私的経験がある。特に「移民のためのスウェーデン語(Sfi)」を受講し、同級生を通じて移民の生活を垣間見たことは大きかった。印象に残っているのは、各自がテーマを決めて発表する課題で、中東からきた青年が行った報告のストーリーだ。彼は「誰にも話したことがないけど、みんなはもう家族だから」と前置きして、スウェーデンにたどり着くまでのいきさつを発表した。

 彼は地方の大家族の出だった。戦禍が町に迫ったある晩、家族が対応を話し合った。金を用意すればブローカーがトルコに渡る手配をするという話だった。家族は自宅や自動車を売り、借金をして、ようやく一人分の金を工面した。そして、彼が代表してトルコに渡り、スウェーデンに着いたら家族を呼び寄せる計画を立てた。一度目は舟をこぎ出してすぐに拿捕され、一瞬にして失敗した。家族は財産のすべてを失った。その後、彼はあらゆる手段で金を集めた。そうして、警備が手薄になる冬の夜を狙って再び脱出を試みた。小さなボートには息苦しい程に人が乗り、船は沈みかけていた。岸を離れて少し経った頃、船は何者かに銃撃を受けた。水面は赤く染まり、ほとんどの人が助からなかった。彼は暗闇を必死で泳ぎ続け、明るくなる頃に漁船に引き上げられた。その後、スウェーデンに庇護を求め、母国の家族に連絡を取ろうとしたところ、全員が虐殺されたことを知った。

 受講生は涙ながらに聞いた。同級生のひとり一人が、言い知れない苦労を背負っていた。

 寛容な政策をとる国とは言っても、移民を取り巻く環境は厳しい。差別的な扱いは日常的で、お前の国ではない、住まわせてやっているんだから文句を言うな、嫌なら出ていけ、というメッセージが投げつけられる。在留者証の携帯が義務付けられているが、その発行には顔写真と指紋の登録が必要で、まるで犯罪者扱いだ。母国で高学歴だった人も、就職の書類を送ったところで一切返事が戻ってこない。スウェーデン人らしい偽名を使って送るとすぐに連絡が来るが、面接に通ることはほとんどない。移民の子どもも苦労している。学校では移民が徒党を組んでいて、入学するとすぐに上級生から声をかけられる。お前はあっち(スウェーデン人側)か、こっち(移民側)かと迫られ、緩急をつけて脅され、仲間に入らざるを得なくなる。スウェーデン人からは排除され、教職員には嫌疑をかけられる。同級生のバカンスや乗馬のレッスンの話を聞きながら、誰もいない家に帰った後の食事の心配をする。個人主義と社会主義が同居するこの国では、寒暖の差が身に染みる。

 寛容な政策には、経済的理由や人道主義、贖罪の意識、国家の虚栄心、地政学的なバランスなど、様々な動機があるだろう。教育現場では在留資格を持たない「ペーパーレス」の子どもや、単身で難民してくる子どもの対応が課題となっているが、政策や制度(建前)と生活実態(本音)とのギャップ解消に目途は立たない。そのことが極右政党の政治的資源になっている。スウェーデンが正解を教えてくれるわけではない。この国の歴史や制度、実践を理解したうえで、互いの経験から学び合うことが大切だと思う。(「解題」より)


書誌情報 (amazon.co.jp)
 書名: リーディングス比較教育学 地域研究 多様性の教育学へ
 出版日: 平成30(2018)年6月28日
 出版社: 東信堂
 編者: 近藤孝弘・中矢礼美・西野節男

2018年10月2日火曜日

研修報告: スウェーデン教育視察 10日目

9月29日

北欧教育視察10日目。
今日は林先生のお家にてまとめの会を行いました。

まずはじめに皆で湖畔へ行き、そこでシュールストレミングの缶を開けました。
シュールストレミングとはスウェーデンで主に食べられる塩漬けのニシンの缶詰のことで、世界一臭い食べ物として有名です。薄いナンのようなパンにバターを塗り、つぶしたジャガイモ、玉ねぎ、香草、ゆで卵、サワークリームと一緒に巻いて食べると、においはあるものの、さっぱりと食べられました。シュールストレミング自体の味は塩辛く、少量で十分でした。これを最初に食べた人はすごいなと思いました。スウェーデンの食べ物として、良い経験ができたと思います。

先生のお家では、ザリガニとミートボールを頂きました。ザリガニパーティーでは頭にお誕生日の人が被るような紙の帽子を被り食べるそうです。どのような味なのだろう?と思っていましたが、エビのような食感で塩気がありとても美味しかったです。ミートボールと一緒に久しぶりに日本のご飯も頂き、とても安心する味でした。料理に温かみがあり、やはり食べ慣れてきた味が一番だなぁと感じました。

日本には明日帰国します。その前の最後の想い出としてとても素敵な経験ができました。台風の影響がなく、無事に帰れるといいなぁと思います。

(担当: 田中優希)


※本事業は、信州大学知の森基金を活用したグローバル人材育成のための短期学生海外派遣プログラムの助成を受けて実施されています。

研修報告: スウェーデン教育視察 9日目

9月28日

北欧教育視察9日目。
今日は『ライブ!スウェーデンの中学校―日本人教師ならではの現場リポート』著者の宇野幹雄先生をお呼びし、ウプサラ大学にて教育セミナーを行いました。前日までの3日間で3つの学校へ行き実習をさせていただいた経験をもとに、スウェーデンの教育と日本の教育の相違点だけでなく共通点についても考え、それぞれの学校ごとにプレゼンをしました。



その中で、スウェーデンは移民を受け入れており、その子の文化的な背景も一人ひとり違うことから統一して指導をするのが難しいことや、教員の資格を持たずに教えている教師もたくさんおり、その場合通知表は校長先生がつけることになるなどの驚きもありました。

また、日本では当たり前のように毎日自分たちでやる清掃も、多くの国では清掃業者が教室に入り掃除をし、改めて日本の自分たちでやる掃除の意味や日本の精神を考える機会となりました。

セミナー後はウプサラ大学周辺の観光をし、大学の裏の道ではこのようなきれいな風景も見られました。途中、ハロウィーンのマレフィセントのようなデコレーションもあったり、お城の屋根に旗のように洗濯物が干してあったりと、様々なものを見つけながら街を歩きました。一週間前にゾンビマラソンで走ったコースを日中歩いて見ると、また違った景色を見ることができ、楽しかったです。空気が澄んだとても素敵な街だと感じました。

(担当: 田中優希)

※本事業は、信州大学知の森基金を活用したグローバル人材育成のための短期学生海外派遣プログラムの助成を受けて実施されています。

研修報告: スウェーデン教育視察 8日目

9月27日

今日はUppsävjaskolanに学校訪問に行きました! 1日を通して8つの授業を参観させていただきました。中でも特に印象的だった授業について書いていきたいと思います。



まず6歳クラスのスウェーデン語の授業です。先生が読み聞かせをするという内容でしたが、子どもたちは読み聞かせの間リンゴやミカンなどのおやつを食べながら読み聞かせを聞いていました。授業なのにおやつを食べながら授業を受けている光景がとても衝撃でした。食べることに集中しているのかな?と思いましたが、教師の問いかけがあると半数以上の子どもが手を挙げて答えていました!日本にはないスタイルでとても面白かったです。

次に3年生の手芸の授業です。自分だけのクッションを作るという内容でした。前時に書いたデザインを基にして、たくさんあるフェルトから好きな色を選び、型取りをして縫うという活動を児童はしていました。この授業を見て自分自身が受けた裁縫の授業を振り返ってみました。自分はデザインされ、型取りされたものをミシンで縫うだけの授業でした。しかし、ここでは0から自分で考えて創り出すという活動であり、子どもたちにとってより楽しく、考える力がつくのではないかなと感じました!
最後に4年の音楽の時間です。音楽室に入ると子どもたちは1人ずつヘッドフォンをしてiPadを操作していました!何をしているのかというと、ナショナルデーで発表するための曲を作っていると仰っていました。ドラムやギターなど8つのパートの音を組み合わせて子どもたちはとても熱心に音楽を試行錯誤して作り出していました。音楽なのにサイレントでとても衝撃的でした!

このような、日本にはない授業がたくさんありとても刺激的な1日でした。

3日間の学校訪問をしてみて、どの学校も子どもにとっても教師にとっても環境が整っているということが共通していると感じました。環境が整っているからこそ、教師は子どもへの支援をより手厚くすることができたり、子どもたちも自由に学べることができたりしているのではないかと思いました!

(担当: 西村真衣)

今日は、Uppsävjaskolanという学校に訪問しました。

たくさん驚いた授業があったのですが、その中でも1つ、最も驚いた授業を紹介します。それは、3年生の木工の授業です。 子供たちは、オリジナルの小さな船を作っていました。ここは木を切るテーブル、ここは色を塗るテーブルなど、テーブルごとにやる内容が決まっており、自分のペースに合わせて作っている様子がありました。

木工で使う道具が壁一面に立てかけられており、その種類の多さと、カバーもかけずに保管してあることにとても驚きました。子供たちにとってそのような道具は身近であり、教師は子供たちを信頼しているからこそできることなのかなと感じました。

また、この授業には4つのステップがあり、それぞれの説明は動画でされているようでした。その動画の出し方がとても面白いのです。なんと、QRコードが教室の後ろの壁にあり、それを各自で読み取り、動画を再生させるのです。QRコードを読み取るとYouTubeの説明の動画に直接繋がります。見たいと思った時にすぐに見れ、また教師も説明をする時間が省け、より子供たちに目が向けられる時間が増えてとても良いなと感じました。
そして、子供たち一人一人に、「1人でできます」「手伝ってください」と書かれたカードが配られており、どちらかを出しながら作業をしている様子がありました。教師は一目で支援が必要な子が分かり、子供たちは声に出さない分教室の中も比較的静かで、作業に集中できるなと感じました。

スウェーデンの学校は木工の授業を大切にしており、「自分たちで家を作ってしまうこともあるよ」と先生から聞いた時はとても驚きました。

日本とは違ったスタイルの授業を見て、とても新鮮で面白かったです。QRコードで読み取り、動画で説明するなど、日本の学校にも取り入れられそうな所がたくさんありました。日本の学校の授業に合わせて取り入れていけたらいいなと感じました。

(担当: 田中愛実)


※本事業は、信州大学知の森基金を活用したグローバル人材育成のための短期学生海外派遣プログラムの助成を受けて実施されています。

2018年9月28日金曜日

研修報告: スウェーデン教育視察 7日目

9月26日

昨日も紹介しましたが、スウェーデンの学校では、授業近くになると教室のドアが開きます。それまで子どもたちは外で思い思いの時間を過ごし、教室に入ってくると学習モードに切り替えようとするのです。
この日は雨が降るあいにくに日でした。さすがに今日は校舎の中で過ごすのであろうと思い、学校に向かいました。そうしますと、子どもたちは雨の中でも外で遊んでいます。傘をさしている子、レインスーツを着ている子、雨など全くお構いなしに遊ぶ子・・・教室の入り口ドアは施錠されていますので、昇降口・ロッカールームまでは入れますが、教室内に入ることはできません。

授業開始時刻近くになったところでドアが開場され、先生は子どもたち一人一人に声をかけ温かく迎え入れます。先生に聞いてみました。
「今日は雨が降っているけれど、いつも子どもたちは外で遊ぶのですか。」
「ええ、教室は勉強をする。その他は外です。」
「日本では、雨の日には屋内で遊ぶことも多いですが。」
「スウェーデンでは外です。暑い日も、寒い日も。晴れている時は、たくさんお日様の光を浴びないと。」
「寒い冬もですか?本当に?」
「ええ、たくさん着ますから大丈夫。」

先生はとにかく「They are outside」ばかり。子どもは外で遊ぶのだということです。これは小学校だけに限らず幼児教育の場でも同様のようです。むしろ子どもは外にいない状態を不思議がっている様子に、ある意味驚きでした。ただ誤解のないように細くしますが、外で放っておかれているのではありません。外にも常時スタッフがいて子どもたちを見守っています。その中であった気になる様子は子どもたちが帰った後で共有されるそうです。連携が取れているからこそかもしれません。

こうした連携は、教室内でも同様で、一つの教室に複数のスタッフがかかわっています。私は3人の先生が受け持つ授業を参観しましたが、一人の教師が複数の教室を担当します。聞けばこの学校では、1~3年生は学級担任がほぼすべての教科を担当し、4~6年生は教科担任制を行っているとのこと。ただ、教科の担当が同学年の学級を中心に配置されているため、子どもたちの姿を、複数の教科を通して共有できる連携体制が構築されています。

子どもたちが帰った後(15:00~17:00)は、連学年会(1-3,4-6)や学年会の時間が確保されています。授業研究などの話をすれば、日本の方法が良いと思うという話になりました。スウェーデンでは、毎日14:00前後に子どもたちの下校になるということが様々な相談の場を生み出している要因の一つとも言えるでしょうが、教師たちが様々な場面の子どもたちの姿を話し合い、より良い教育を展開しようとする姿勢を、教師たちの声から学ぶことができました。また、対話の中で日本との比較からお互いの良さを再確認するよい時間となりました。

(担当: 清水貴夫)

Samskolaでの実地実習二日目です。今日の午前中はJohanna先生の算数の授業を参観しました。

1時間目の算数の授業では個人学習の時間がなく、全てペアワークで行われていました。ペアワークをする際に子どもたちはA4ノートくらいの大きさのホワイトボードを用いて、自分の考えや友の意見を書き出し、議論をしながら与えられた課題を一生懸命に解いていました。ホワイトボードに考えを書き出すことで、考えを視覚化でき、
より議論しやすくなっているなぁと感じました。

2時間目のクラスも算数でしたが、1時間目とは異なり完全に個人学習の時間になっていました。算数のドリルをやっている間にJohanna先生が子ども1人ずつ前に呼びパソコンの画面を見ながら話し合っていました。話を聞くと理科のテストを口頭でしているらしく、知識は身についているか、どのように課題を考えたのかについて1人ずつ確認テストをしていました。2時間目の終わりには、口頭で行なったテストの結果をプロジェクターで黒板に映し出していました。テストのやり方、成績の表示の仕方が斬新な方法でとても驚きました。 

Samskolaの高学年はクラス担任制ではない状況で教師は生徒とどのように関係づくりをしているのかについて疑問に感じていたのでTina先生、Johanna先生に質問してみました! 両方の先生とも、子どもとたくさん話すことをとても大切にしていると答えていました。ランチタイムでも子どもと一緒に食べながら会話を楽しんだり、休み時間などに暗い顔をしていたり心配なことがある子には積極的に話しをして関係をつくると仰っていました。やはり、子どもとの"会話"は子どもにとっても教師にとっても大切な要素なのだなぁと再確認できました。
(担当: 西村真衣)


※本事業は、信州大学知の森基金を活用したグローバル人材育成のための短期学生海外派遣プログラムの助成を受けて実施されています。

2018年9月27日木曜日

研修報告: スウェーデン教育視察 6日目


9月25日

スウェーデンの学校で学ぶ子どもたち、そして教師たちのかかわりについて、教室に入って共に学び考える機会をいただきました。日本の学校と異なるところ、あるいは変わらない大切にされているところなどについて、実際に学校の中で子どもたちと過ごす中で、考えるところは多くありました。そのいくつかを紹介します。

日本の学校では始業前に教室にあるロッカーに物を入れて遊ぶということが常だと思いますが、ここでは、教室とロッカールームの間に扉があり、授業時刻近くになると開きます。教室は学ぶためにある場所ということが徹底されているようでした。
入ってきた児童たちは明るく元気で、積極的に英語で話しかけてくる子、授業中に問題を一緒に解くと嬉しがる子、お昼を食べている時も会話に入ってくる子・・・ここは日本と変わりません。

さて、授業は正解を導き出すものだけでなく、ディスカッションによって解決を目指す学びを大切にしているように感じました。教師の簡単な言葉のあと、実際に具体物を用いて話し合により回路を完成させ、それを他のグループと見合い説明することをねらった理科。

児童全員にPCが整えられ、「自分たちで問題を作成し、その解き方を説明する」動画を撮影して見合うなどというプログラミングとしての学習もその表れではないかと思います。PCは各自持ち帰るそうです。「えっ? 日本の学校はないの? 技術の発展した国なのに?」担任の先生に不思議がられました。

教科によっては1時間の中で学級を2つに分け、2教科を交互に学ぶものもありました。より落ち着いて分かりやすく学ぶ工夫といえます。放課後に教師たちが相談することもあるそうです。

「この学校の子どもたちは学ぶことが好きです。」という先生の言葉。学ぶことが好きになる工夫を日頃より努力され、また子どもたちから感じようと接するからこそ言える言葉だと感じた私です。

(担当: 清水貴夫)


※本事業は、信州大学知の森基金を活用したグローバル人材育成のための短期学生海外派遣プログラムの助成を受けて実施されています。

2018年9月26日水曜日

研修報告: スウェーデン教育視察 5日目

9月24日

英語教育コースの小岩井啓です。日本とは違った先進的な教育に興味があり北欧研修に参加させていただいています。
今日で研修は5日目。ゾンビマラソンの影響もあり、土日も観光で歩き続け筋肉痛で変な歩き方になりつつあります。少しずつ疲れも蓄積していて今朝僕はとてもひどい顔をしていた思います...

そんな中ではありますが、毎度のように天候には恵まれ、澄み切ったスウェーデンの清々しい朝、バスで30分ほど揺られBoo Gårds Skolaへ。別荘地のような閑静な住宅街のなかに小学校がありました。日本にはない平屋の校舎で、横にとても広い。校長先生や副校長先生に迎えられ、校長室でBoo Gårdsとスウェーデンの教育について紹介していただいた後、学校の中や子ども達の様子を見て回りました。
まず飛び込んできたのは元気一杯の子どもたちです。休み時間に近くにある市のグラウンドを校庭がわりにサッカーや綱引きをして遊ぶ子どもたち。僕たちも混ざって日本対スウェーデンの国際マッチ! バック宙を披露してくれる子もいたり元気はつらつ。そのほかにもいろんな遊びをしている子どもたち。遊び道具の倉庫の中には日本とは比べ物にならないくらいの遊び道具の品揃え。学年ごと外に出る時間を決めたり、子どもたちが飽きないように、また何もすることがない子どもがなるべくいないように環境を整えるという工夫がありました。

その後いくつか授業の様子を見させていただきました。就学前教育クラスでは子どもたちが物語を作り、文章にするのを先生に手伝ってもらったり、自分の世界観を絵やブロックなどで表現したり、みんなに発表したり自分の中にある世界を見てもらうことから表現する力を高めているとのことでした。 

高学年の木工の授業。道具や最新の機器など整った環境の中でおもいおもいの作品に向き合います。 後半はプレスクールを見学させていただきました。


小学校と少し離れたところにあるのですがプレスクールに着くやいなや、歓迎の歌を披露していただきました。とってもかわいい歓迎会。とても嬉しかったと同時に癒されました。 さて校舎の中はというと最近新しく建て替えたばかりでとても綺麗な校舎でした。ドアが少なくユニットになっていて、目的ごとに場所が区切られていたり、写真やイラスト、色を組み合わせて子どもたちが目にする情報を可視化するというような細やかな工夫がありました。
また給食では子どもたちが自分で自分が食べる分の給食を取り自分で食器を片付けるという日本では見られないスタイルでした。3〜5歳のちびっこたちがミートソースで顔を真っ赤にしながらお代わりをし、後片付けをする様子は微笑ましくたくましくありました。 

この学校の近くには綺麗な湖畔があり湖畔沿いに別荘のような大きな住宅が並びます。とても気持ちい散歩コースでもあります。先生方は何か考え事があったり誰かと相談したいことがあると連れ立ってこの散歩道を行くそうです。

今日は半日だけの訪問でしたが日本とは異なる点がたくさん見ることができました。環境的な面での違いやアドバンテージはたくさんあるとは思いますが、日本でもできることや子どもたちの未来を見据えてどんなことをしているのか、子どもたちの持っているものを引き出したり伸ばしたりするにはどんな工夫があるのか気になるところはたくさんあります。

明日からいよいよ一人一人が学級の中に入って実習のようにスウェーデンの授業を体験していきます。より良い収穫になるよう積極的に子どもと先生方とかかわっていければと思います。
(担当: 小岩井啓)


今日の午前中はBoo Gårds skolaにお邪魔し、子どもたちの朝活動やいくつかの授業の様子を見学させていただきました。学校の周りは自然が豊かで、子どもたちは広々とした校庭やコートで思い思いに遊んでいました。 

率直に感じた日本の小学校との一番の違いは、物理的な環境です。白が基調の明るい配色の校舎で、壁にポップな絵柄があったりもします。教室の中は机と机の間隔が広く、机の形も丸いような形で二人掛けでした。日本の学校の校舎と比べると柔らかな印象を受けました。日本の小学校の校舎を同じようにしたらどのような効果があるか気になります。

明日からは授業の導入の様子や子ども同士の関わり合いの姿などに目を向けてみたいと思います。


(担当: 丹羽甲)


※本事業は、信州大学知の森基金を活用したグローバル人材育成のための短期学生海外派遣プログラムの助成を受けて実施されています。