2014年12月2日火曜日

衆院選2014 教育・子育てマニフェスト比較 ⑫ワークライフバランス

信州大学教育学部「比較教育学演習」の授業で、第47回衆議院議員選挙の各党のマニフェストから、教育と子育てに関する政策をまとめました。

ワークライフバランス

自由民主党
・女性研究者・技術者が出産・子育て・介護等と仕事の両立ができるような働きやすい環境づくりを進めるとともに、研究機関等における女性研究者等の採用・登用等の活躍を促進します。
・「女性のチャレンジ応援プラン」を策定し、家事・子育て等の経験を活かした再就職の支援等を行うとともに、「働く女性の処遇改善プラン」を策定し、非正規社員の処遇改善や正社員化を支援します。
・地域の実情に応じた、結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目のない支援」を推進するため、自治体による取組みを応援します。結婚や子育てを後押しするための新たな経済的支援制度を創設します。
・安心して子育てに取り組めるよう、自治体によるワンストップの子育て支援拠点(日本版ネウボラ)の導入を支援します。
・子育て家庭、働く母親の負担軽減のため、ベビーシッター費用や家事費用の支援策の導入を図ります。
・仕事と家庭の両立支援に積極的に取り組む企業に対し、育児休業者の代替要員確保のための助成等のインセンティブを与え、企業風土の改革を目指します。
・女性アスリートを育成・支援するプロジェクトを推進します。女性アスリートの海外派遣や資格取得、妊娠・出産・育児をサポートします。
・子供が健やかに育つよう、また、若い世代が孤立しないで安心して妊娠・出産・子育てができるように、切れ目のない支援を行います。
・大学等における保育環境の整備、研究と出産・育児・介護等との両立や研究力の向上に向けた女性研究者の支援を図ります。

民主党
・子育て支援策の抜本的拡充、若い世代に対する結婚・出産支援策の強化により、「希望する人が安心して結婚、出産できる社会」をつくります。
・結婚、出産後の就業の継続・復帰を支援します。妊婦健診の公的助成を含め、出産費用を助成し、自己負担がほぼないようにします。不妊治療支援を拡充します。
・ひとり親家庭への支援、仕事と育児・介護の両立支援、「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)が実現できる環境整備を行います。女性の健康向上の支援、男性の育児参加の促進を図ります。

維新の党
・子育てサービスの成長産業化
・ワークライフバラランスの社会基盤をつくる。子育てと両立できる在宅ワークを推進する。
・出産・育児期に就労率の下がる日本独自の女性のいわゆる「M字カーブ」を解消。高齢者雇用率、女性雇用率を設定し、ペナルティよりも減税等のインセンティブで誘導する。
・地域の権限で多様な子育て支援サービスが提供できるよう規制改革を進め、女性が職場で働き続けられる環境と制度を構築する。
・子育てしながら働けるよう、駅ナカや駅チカで保育所オフィスを複合した「準・在宅ワーク」の拠点を整備する。

日本共産党
・子どもの成長を喜びあえる、だれもが安心して子育てできる社会をつくります
これから子どもを持つために必要な条件として一番多くの人があげているのは、「働きながら子育てができる職場環境」です。また理想の子ども数がもてない理由のトップは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」です(国立社会保障・人口問題研究所調査)。お金の心配なく、だれでも安心して子育てできる社会への願いは切実です。ところが安倍政権は、この願いに逆行する政治をおしすすめています。
・増えない給料、不安定な雇用、加えて安倍政権の2年間で、児童手当(旧子ども手当)の減額、高校授業料無償化への所得制限導入、生活保護の削減・制度改悪、そしてこの4月からの消費税8%への増税と、子育て世代を直撃する負担増・増税がつぎつぎに強行されました。働きたくても、保育所に入れない待機児童問題も解決されず、生活の困難、貧困と格差がいっそう拡大しました。子どもの貧困、児童虐待も増加しています。ますます日本は、子育てしにくい国、子どもを産みたくても産めない社会になっています。
・日本共産党は、子育て世代と子どもたちを苦しめる安倍政権の暴走をストップさせ、だれもが安心して子育てでき、子どもたちの健やかな成長を保障できる社会をめざします。安定した雇用と子育てしながら働きつづけられる条件整備、子育ての経済的負担の軽減など、社会全体で子育てを支える総合的な子育て支援をつよめます。最も困っている子どもと家族への支援を充実させ、子どもの貧困の改善をすすめます。
・子どもを安心して育てられる働き方、社会的条件をつくります
・長時間労働の改善、正社員化など子育てしやすい働き方のルールをつくります
・子育て世代の家庭にとって、働き方の改善は切実な願いです。異常な長時間労働が子育ての困難をひろげており、30代の男性で週60時間以上働く人は5人に1人、女性の長時間労働も増加しています。
・違法なサービス残業を根絶し、残業時間の上限を年360時間に法律で規制します。子育て期の労働者の時間外労働の免除、短時間勤務制度は小学校入学前まで、深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。安倍政権がすすめようとしている “残業代ゼロ”のホワイトカラー・エグゼンプションの導入や裁量労働制は、いっそうの長時間労働をおしつけるものであり、子育てしながら働きつづけることを困難にします。労働法制の大改悪を許しません。
・低賃金と不安定な働き方が結婚も子育ても困難にしています。青年と女性の半数以上がパートや派遣などの非正規雇用です。非正規雇用から正社員への流れをつくり、「期間の定めのない働き方」が当たり前の子育てしやすい社会をつくります。労働者派遣法を抜本的に改正して、派遣労働は一時的臨時的なものに限定し、均等待遇の原則にもとづき、労働条件の改善をすすめます。パート労働法を改正し、パート労働者への差別禁止、均等待遇を明記します。時給1000円以上への最低賃金の引き上げと全国一律最低賃金制の確立で賃金を底上げします。
・育児休業制度を改善し、非正規雇用労働者、男性の取得促進などをすすめます
育児休業制度を利用している女性は76%、男性は2%です。女性も男性も利用できるように、所得保障を父母それぞれに3カ月間は100%にする、保育所入所ができない場合には育児休業の1年以内の延長を可能にするなど制度の拡充をすすめます。代替要員確保の助成金の増額や助成期間の延長など中小企業への支援を充実します。
・非正規雇用の父母は、子どもが2歳になるまで雇用が続いていることが条件とされています。有期雇用をふくめ6カ月以上勤続している労働者すべてに対象を拡大します。
・子どもが病気のときの「子どもの看護休暇」は、学校行事への参加などにも使える「家族休暇」制度に拡充し、労働者1人10日に増やします。
・妊娠・出産や産休、育休制度を利用したことに対する解雇、嫌がらせなど。違法なマタニティ・ハラスメントをなくします。育休制度の利用による不利益取り扱いを許さず、原職復帰原則の確立、苦情処理・救済制度の拡充、指導・監督の徹底、違反企業への罰則強化などをはかります。
・安心して妊娠・出産できるように経済的支援をつよめます
・妊婦健診は国の補助事業にし、どこでも同じように安心して受けられるようにします。高い出産費用は、若い夫婦にとって重すぎる負担です。現在42万円の出産育児一時金を大幅に増額します。風疹予防ワクチン接種費用への国による補助をすすめます。国保の出産手当金制度を「強制給付」にするなど休業中の所得保障、社会保険料免除などをすすめ、非正規雇用や業者、農業などを問わず、安心して産前産後休暇がとれるようにします。不妊治療への助成にたいする夫婦で730万円の所得制限の緩和、健康保険適用の拡大などをすすめます。

次世代の党
4. 世代間格差を是正する社会保障制度の抜本改革、徹底的な少子化対策
⑥ 扶養する子供の数が多いほど所得課税が少なくなるフランス型の世帯所得課税制度の導入、税制・年金制度において非婚化・晩婚化対策を実施、3人目以降の子供に特化した子育て制度改革


担当: 林 寛平
学生: 飯島香純、大木健晴、森下結衣、加地里帆子、山田真由美

衆院選2014 教育・子育てマニフェスト比較 ⑪放課後

信州大学教育学部「比較教育学演習」の授業で、第47回衆議院議員選挙の各党のマニフェストから、教育と子育てに関する政策をまとめました。

放課後

自由民主党
・就学後の子供の預け先が見つからず、離職を余儀なくされる「小1の壁」打破のための「放課後子ども総合プラン」(平成31年度末までに約30万人分の受け皿拡大等)を着実に実施します。
・「子ども・子育て支援新制度」について来年4月に施行し、保育所・放課後児童クラブの待機児童の解消や保育等の質の改善に取り組みます。
・一体型の放課後児童クラブと放課後子供教室を1万ヶ所整備する等、「放課後子ども総合プラン」を着実に実施します。
・子ども・子育て支援の予算を増額し、新児童手当等により子育てを直接支援するとともに、待機児童の解消、仕事と育児の両立支援の充実のため、保育所・認定こども園・放課後児童クラブなどを拡充します。

民主党
・質の高い幼児教育・保育等を実現するため、保護者や地域の実情に応じて計画を立て、保育所定員の増員、放課後児童クラブなどの整備、職員の処遇や配置基準の改善等を進めます。病後・病児保育など多様な保育の提供に取り組みます。

公明党
・幼稚園と保育園の良さを併せ持つ「認定子ども園」の普及とともに、子どもを一時的に預かってもらう場(一時預かり)や放課後児童クラブの充実に取り組みます。あわせて、保育士・幼稚園教諭の処遇改善を図り、働き続けられる環境整備に取り組みます。
・学童保育の拡充、環境整備と指導員の待遇改善をすすめます
・子どもたちが放課後を安全に安心して過ごせる学童保育の拡充はいっそう切実な願いとなっています。学童保育数は、この5年間で1・2倍加し、2万2096カ所になり、93万人以上の児童が利用しています。しかし、なお「潜在的な待機児童」が約40万人と推測されており、必要数に遠く及びません。
・公的責任で学童保育を抜本的に拡充します。国の予算を大幅に増やし、学童保育の増設、大規模化の解消、施設・設備の改善、指導員の正規化・労働条件の改善、複数配置、利用料の軽減などをすすめます。2012年の児童福祉法の改定で、市町村は国の基準に基づいて設置運営基準を条例で定めることになりました。一歩前進ですが、従うべき基準とされたのは指導員の配置基準のみで、面積基準などは参酌基準です。専任で常勤の指導員の複数以上の配置、面積基準の確立をすすめるなど基準を引き上げ、地域格差の改善をすすめます。営利企業の参入促進は反対です。

日本共産党
・すべての子どもを対象とした「放課後子ども教室」などを拡充します。学童保育と一体化させるのでなく、それぞれ充実させつつ、連携強化をはかります。


担当: 林 寛平
学生: 飯島香純、大木健晴、森下結衣、加地里帆子、山田真由美

衆院選2014 教育・子育てマニフェスト比較 ⑩貧困対策・奨学金


信州大学教育学部「比較教育学演習」の授業で、第47回衆議院議員選挙の各党のマニフェストから、教育と子育てに関する政策をまとめました。


貧困対策・奨学金

自由民主党
・大学奨学金事業における「有利子から無利子へ」の流れを加速し、返還月額が卒業後の所得に連動する「所得連動返還型奨学金制度」の導入を図ります。

民主党
・生活困窮者などの自立支援
・子どもの貧困対策法に基づき、「貧困の世代間連鎖」を断ち切ります。
・所得制限のない高校無償化制度をめざします。
・大学など高等教育における授業料の減免や奨学金を拡充し、返済の必要のない「給付型奨学金」の創設をめざします。

公明党
・幼児教育の無償化を推進
すべての子どもに質の高い幼児教育を保障するため、就学前3年間の幼稚園、保育園、認定こども園の幼児教育の無償化を着実に推進します。その一環として、幼稚園に子どもを通わせる負担軽減のために支給されている「幼稚園就園奨励費補助制度」が2014年から拡充され、生活保護世帯の負担が無償になり、多子世帯(子どもが3人以上いる世帯)の負担が軽減されました。その上で、さらに無償化を進めるために、まず「5歳児」の無償化に取り組みます。
・奨学金制度等の拡充
学ぶ意欲のある大学生や高校生等が経済的な理由により修学の機会を奪われることのないよう、授業料減免制度や無利子奨学金、奨学金返済免除制度、高校生等奨学給付金の拡充を進めるほか、返済不要の給付型奨学金や、マイナンバー制度の導入を前提に、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入をめざします。
・このほか、大学生や高校生等の海外留学を促進するため、給付型の留学奨学金制度の拡充に取り組みます。

日本共産党
▼ブラック化している学生奨学金の改革を急ぎます
2012年、共産党が長年要求してきた国際人権規約「高校と大学の段階的無償化」条項への留保の撤回が実現しました。ところが「世界一の高学費」の大学はそのまま放置されています。とくに奨学金は欧米では返済なしの給付制が主流ですが、日本では有利子が大半です。そのため、「将来返せるか不安」「返済するために仕方なくブラック企業に勤める」「返済が困難でも脅しで取り立てられる」など深刻な実態がひろがっています。①「奨学金」というならすべて無利子にする、②収入が少ない人への返済の減免制度など返済に困ったときのセーフティネットをつくる、③先進国にはすべてある返済不要の給付制奨学金を創設するの三つの転換で、奨学金を安心して借りられる制度にします。
・学校給食を拡充します
安全で豊かな学校給食のために、給食の安全性や質の確保の上で問題の多い民間委託を見直し、地産地消、自校方式、直営方式などをすすめます。中学校給食、高校給食をひろげます。学校給食費の未払いをすべて保護者の責任にするのではなく、無償化の方向を検討するとともに、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。
▼教育費負担の軽減・無償化をすすめます
子どもを持つ上での不安のトップはどの世代も、「経済的負担の増加」です(内閣府調査)。なかでも教育費の負担は重く、高校入学から大学卒業にまでかかる費用は子ども一人当たり平均1056万円、子どもにかかる教育費用は年収の4割となり過去最高です。年収200~400万円の世帯では6割に達します(日本政策金融公庫調査、2013年)。
・国際人権規約を生かした学費無償化のプログラムをつくります
日本共産党はこの事態を打開するため、「高校と大学等を段階的に無償化する」という、国際人権規約を認めることを強く主張してきました。国民の皆さんの運動とあいまって、2012年、政府は無償化条項を承認しました(「留保の撤回」)。ところがその後、無償化の具体化が検討されていません。高校、大学、専門学校の無償化の目標をいつ達成するかはっきりさせ、それにむけて段階的に無償化をすすめるプログラムを策定します。
・高校就学支援金の所得制限をなくし、かんたん・安心の制度にします
安倍政権は、はじまったばかりの高校就学支援金に所得制限を導入して制度を後退させました。全員がいったん授業料を払い、必要な人は申請によって公立高校授業料に相当する就学支援金を受けるという複雑な仕組みとなり、申請手続きが煩雑で申請をあきらめる、一時的な授業料負担に困るなど、さまざまな矛盾がうまれています。所得制限をなくし、諸手続きを一度ですむ簡単なものにします。公私間格差是正へ私立高校生への支援金制度の拡充をすすめます。年限制限など不合理な制度を是正します。
・高校奨学給付金が2014年から始まりました。長年の国民の世論と運動の成果であり、日本共産党の主張が実ったものです。いっそうの拡充をはかり、第一子の増額、通学費分の支給、支給対象の拡大などをおこないます。不登校の同年齢期の子どもも、高校と同等の支援をめざし、公的支援を強めます。義務教育の学齢も同様の措置をとります。
・国の「修学支援基金」(*注)の延長をおこないます。政府は国の「修学支援基金」制度を今年度で終了するとしています。県独自の学費補助の半額を支援している制度です。制度がなくなれば、県の補助がおおきく後退しかねません。みなさんと力をあわせ、国の「修学支援基金」制度を延長させます。(*2009年リーマンショックで創られ、2011年東日本大震災で3年延長された基金。来年度以降の計画がなく、今年度で終了予定。全国知事会も延長・拡充をもとめている。)
・安倍政権は、朝鮮学校への就学支援金を支給しないことを決定しました。しかし、内外人平等の国際人権規約などに照らしても、支給することは当然のことで、撤回すべきです。国際条約に基づき朝鮮学校など外国人学校に無償化措置を適用します。
・乳幼児教育の負担軽減を進めます
乳幼児は人格の土台をつくる大切な時期です。ところが、日本の乳幼児教育の予算はOECD諸国の平均の半分しかなく、保育園の不足、保育園の民営化など量質ともに貧弱で、負担の重さに若い保護者は改善をつよく求めています。すべての乳幼児が豊かな保育がうけられる体制を整えるとともに、無償化をめざして、保育料、幼稚園授業料の軽減を進めます。
・義務教育段階の家計負担の解消を進めます
義務教育無償の原則にもかかわらず、無償の対象は授業料や教科書代などに限られ、制服代、ドリル代、修学旅行積み立てなど義務教育段階の家計負担はあまりに重すぎます。義務教育にふさわしく家計負担の解消をめざし、段階的に負担の引き下げを進めます。
・就学援助を拡充します
就学援助はすべての子どもに義務教育をきちんと保障するための命綱です。ところが、「子どもの貧困」が広がり就学援助を強めなければならない時に、自公政権が就学援助の国庫負担制度を廃止し、各地で就学援助の縮小がはじまっています。国庫負担制度をもとに戻し、対象を少なくとも生活保護基準×1.5倍となるように引き上げ、支給額も実態にみあってひきあげ、利用しやすい制度にします。教育扶助の額も同様に引き上げます。学校給食費の未払いをすべて保護者の責任にするのではなく、無償化の方向を検討するとともに、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。
・大学の「世界一の高学費」を軽減します
国公立大学の授業料標準額を段階的に引き下げ、私立大学には国立との差額を補てんするための国庫助成や私立大学生への直接助成をおこないます。国公私立の区別なく、年収400万円以下の世帯への学費免除を実施する制度をつくります。高等専門学校については、高校相当部分、高等教育相当部分それぞれの時期に即して無償化・負担軽減をおこないます。
・各種学校・専門学校の負担軽減に着手します
高卒後なんらかの教育機関に進学する割合は70%に達しています。そのなかでも各種学校・専門学校の学費は年間100万円、200万円とかかるのに公的助成がありません。北欧などでは専門学校も無償です。国の責任で公的助成に着手します。
▼私立学校の豊かな発展をささえます
・もっと安心の就学支援金をきずきます
私立高校は入学金、施設整備費の重い負担があることに鑑み、就学支援金をひきあげ、実質負担をすでに一部の自治体で到達しているように、年収250万円以下でゼロ、年収800万円で10万円程度にするようにします。私学は公教育であり、ヨーロッパでは無償・低額です。全員の授業料部分の実質無償化(おおむね平均額36万円支給)、入学金と施設整備費の年収500万円未満世帯の全額無償化、奨学給付金の拡充などをすすめ、無償化に接近させます。
▼東日本大震災被災地の教育の復興、放射能・原発に関する教育
・「給付型奨学金」の創設などにより被災者の教育費や生活の心配をなくします
震災により保護者の生活基盤が破壊されたことは、進学の断念、生活の困窮によるネグレクトなど子どもに深刻な影響をあたえています。復興の大原則として生活基盤復活を求めるとともに、被災者への返済不要の「給付型奨学金」(程度に応じて月数万円から10万円)を創設、被災者への私立高校、専修学校・各種学校、大学等の授業料減免の拡充、被災地の給食費、教材費等を復興まで不徴収とするための国庫補助、保護者の生活を支援するスクールソーシャルワーカーを中学校区に最低一名以上配置など教育の面から子どもの教育費や生活の心配をなくす手立てをとるようにします。震災によって親を失い、孤児となった子どもへの支援の体制を拡充します。

社会民主党
・貧困の防止
・生存権を保障する生活保護制度の縮小を許しません。行政の対応を点検、改善するとともに、ケースワーカーの育成、増員、資質の向上に取り組みます。
・「健康で文化的な最低限度の生活」の底上げ、社会的セーフティネットの構築、ひとり親家庭への支援を強化し、貧困の連鎖を防止します。


担当: 林 寛平
学生: 飯島香純、大木健晴、森下結衣、加地里帆子、山田真由美

衆院選2014 教育・子育てマニフェスト比較 ⑨待機児童対策

信州大学教育学部「比較教育学演習」の授業で、第47回衆議院議員選挙の各党のマニフェストから、教育と子育てに関する政策をまとめました。


待機児童対策

自由民主党
・1兆円超程度の財源を確保し、「子ども・子育て支援新制度」に基づく子育て支援の量的拡充(待機児童解消に向けた受け皿の拡充等)及び質の改善(職員配置や職員給与の改善等)を図ります。
・希望する全ての子供に幼児教育の機会を保障するため、財源を確保しつつ、幼児教育の無償化に取り組みます。

民主党
・子ども・子育て支援の予算を増額し、新児童手当等により子育てを直接支援するとともに、待機児童の解消、仕事と育児の両立支援の充実のため、保育所・認定こども園・放課後児童クラブなどを拡充します。

維新の党
・小規模・家庭的保育を含めた多様なサービスの新規参入と規制改革を進め、それにより待機児童を解消する。
・保育園への株式会社の参入を促進する。自治体、社会福祉法人の保育園とイコールフッティンブを確保する。

公明党
・2015年4月から予定されている「子ども・子育て支援新制度」を確実に実施し、仕事と子育ての両立を支援します。そのため、「待機児童解消加速化プラン」を踏まえ、約40万人分の保育の受け皿を確保し、可能な限り早く待機児童を解消します。

日本共産党
・新制度による公的保育の後退を許さず、安心して預けられる保育・学童保育を保障します
・国・自治体の責任で保育要求にこたえた認可保育所を増設、保育条件の改善をすすめます
今年4月に、認可保育所に申し込んでも入れなかった待機児童は2万1371人、実態はその倍以上とみられています。男性も女性も、安心して子育てしながら働き続けられるよう、子どもの健やかな成長を保障する条件の整った保育を保障しなければなりません。
政府が来年4月に実施しようとしている「子ども・子育て支援新制度」は、基準を緩めた保育サービスの導入や、営利企業の参入の拡大、公立保育所の廃止や強引な幼稚園との統合など、本来の国と自治体の責任を後退させるものです。安心して預けられる公的保育を守り拡充するために、新制度による保育の後退を許さず、待機児童の解消、認可保育所を中心とした保育の保障、保育条件の改善をすすめます。
子ども・子育て支援法で、自治体には、ニーズ調査をふまえて5年間の支援事業の需給計画作成が義務づけられています。「児童福祉法24条1項」にもとづき、保育需要にこたえた認可保育所をつくります。保育士の確保と労働条件の改善、保育条件の確保、保育料の負担軽減などに、十分な財源を保障します。 
・高すぎる幼稚園授業料を引き下げます
高すぎる幼稚園授業料を引き下げます。私立幼稚園に通う子どもの親に対する国の助成制度を拡充します。OECDは、日本の就学前教育について、民間部門に大きく依存しており、就学前教育機関への支出の55%が私費負担でありその大半が家計支出となっていることを指摘しています。「子ども子育て支援新制度」によって、公立幼稚園の保育料が大幅にひきあがるとことが出てくることが危惧されています。高すぎる国の保育料の基準額を改善し、父母負担を引き下げます。

社会民主党
・保育所・認定こども園・幼稚園の質の向上と量の拡大を実現。国有地や空き教室などの活用で保育所を大幅に増設し、待機児童対策を推進。


担当: 林 寛平
学生: 飯島香純、大木健晴、森下結衣、加地里帆子、山田真由美

衆院選2014 教育・子育てマニフェスト比較 ⑧震災対応・防災

信州大学教育学部「比較教育学演習」の授業で、第47回衆議院議員選挙の各党のマニフェストから、教育と子育てに関する政策をまとめました。


震災対応・防災

維新の党
・復興は人づくりから。地元の大学に地域の若者を集め、東北で起業する環境を整備する。
・「子ども被災者支援法」の基本理念に基づき原発事故被害者の生活再建支援を最優先にする。

公明党
⑥学校施設の耐震化と長寿命化対策
学校施設の耐震化(非構造部材を含む)100%を実現します。また、予防保全という考えの下、劣化状況調査を実施し、学校施設の長寿命化を進めるとともに、維持費の圧縮を図ります。

日本共産党
・放射能から子どもを守ります
多くの人々と力をあわせ「即時原発ゼロ」を求め、放射能から子どもの命と健康が放射能に脅かされることのない社会にします。福島の子どもたちの命と健康を守る検診・医療制度の充実、教育条件の整備、福島県をはじめ放射能汚染が心配されるすべての地域を対象とした、食の安全確保、学校や保育所等の施設、子どもの通学路や遊び場などの放射線量測定と除染について、国の責任を明確にして取り組みをつよめます。子どもの健康を心配し自主避難した人なども含めて、すべての原発被災者・被害者を支援します。
・学校耐震化、防災拠点としての整備をすすめる
東日本大震災はあらためて、学校の防災拠点としての重要性を明らかにしました。しかし少なくない学校で避難所・防災拠点として必要な水や燃料、毛布などの整備が十分ではありません。国の制度を確立し、整備を進めます。学校の耐震化はある程度進みましたが、いまだに約1割の学校が対策を講じられていないと考えられ、一刻も早い対策が求められています。また、地震の際には天井材、内外装材、照明器具、窓ガラスなどの非構造部材にも被害が生じ、子どもらへの重大事故につながりかねません。ところが、非構造部材の対策を行っている学校は全体で3割程度にとどまっています(2012年4月1日現在)。耐震化の遅れの背景には、地方財政の逼迫があります。国の予算を増額し、全ての耐震調査・耐震化工事への補助率と補助単価をひきあげるなど、保育園や幼稚園も含めて遅れた耐震化を確実に進めるようにします。
▼東日本大震災被災地の教育の復興、放射能・原発に関する教育
東日本大地震から二年以上が経過しましたが、被災地では教育上の解決すべき問題が今なお数多く残されています。現在進行中の福島第一原発事故による災害、放射能汚染への対応も不十分で、子どもの被曝への心配もやみません。
子どもは復興の希望です。その子どもたちの成長や安全が保障されていない現状を放置してはなりません。日本共産党国会議員団が現地調査にもとづき震災の直後におこなった「東日本大震災――学校教育についての申し入れ」をふまえ、以下のことに全力でとりくみます。
・地元の要望にもとづく学校再建・教育条件整備を全額国の負担ですすめます
大規模な被害をうけた学校の再建はこれからです。現地の要望は、安全な高台に移して安心な学校を建てたい、いまの校地に盛土をして校舎をより高い位置に建て直したいなど様々です。ところが国の支援が不十分なもとで、自治体によっては震災に乗じて学校の統廃合を一方的に進める動きもおきています。未曾有の津波で地域全体が大きく破壊された中での復旧であり、地元住民の要望にもとづく学校再建を全額国の負担ですすめます。私立学校や専修学校・各種学校の再建や修繕も公立学校と同様の措置をとるようにします。
・「給付型奨学金」の創設などにより被災者の教育費や生活の心配をなくします
震災により保護者の生活基盤が破壊されたことは、進学の断念、生活の困窮によるネグレクトなど子どもに深刻な影響をあたえています。復興の大原則として生活基盤復活を求めるとともに、被災者への返済不要の「給付型奨学金」(程度に応じて月数万円から10万円)を創設、被災者への私立高校、専修学校・各種学校、大学等の授業料減免の拡充、被災地の給食費、教材費等を復興まで不徴収とするための国庫補助、保護者の生活を支援するスクールソーシャルワーカーを中学校区に最低一名以上配置など教育の面から子どもの教育費や生活の心配をなくす手立てをとるようにします。震災によって親を失い、孤児となった子どもへの支援の体制を拡充します。
・福島をはじめ被災地の教職員定数をふやします
子どもの心のケア、生活の心配、学習の遅れなど、被災地の学校は多くの課題がある一方、教職員自身も被災し困難をかかえています。子どもたちをていねいに育てられるよう、被災地の教職員定数の増員をすすめます。とくに原発事故により福島県では多数の子どもが他県に避難し、また、避難しなくとも被曝を心配しながら教育活動を続けなければならないなど、きわめて困難な状態が続いています。ところが国の教員配置に関する措置は、震災前の教職員数の維持にとどまるなど、たいへん不十分です。困難な状況に対応したいっそうの手厚い条件整備をすすめます。
・線量調査、除染など被曝低減対策、健康調査をすすめます
原発事故による被曝から健康を守る原則は、「これ以下なら絶対に大丈夫という値はない」という考え方(「しきい値なし」)にたち、被曝量を可能な限り下げることです。とくに子どもは大人より感受性が高いわけですから、被曝量をより低く抑える必要があります。ところが国は、子どもの被曝限度を「事故収束後の復旧期」の最大値である「年間20ミリシーベルト」とし、当初は被曝量を下げるための校庭の表土削除すら「必要ない」として保護者らの激しい怒りを呼びました。こうした対応をあらため、被曝低減対策、健康調査、学校給食の安全対策、線量の高い地域の子ども・保護者が、無償で各地の「林間学校」等公的施設で休暇をとれるような措置をすすめます。
・原発推進教育を中止し、原発と被曝についての科学的な教育を保障します
自公政権は2002年から、原子力発電所立地を目的とするエネルギー特別会計によって偏った原発推進教育をすすめていました。すでに「原発安全神話」が書かれた副教材「わくわく原子力ランド」等はわが党の追及で「見直し」となりましたが、それにかわって発行された副教材は、原発事故についての反省もなく、放射能や被曝の過小評価を子どもに与えるような内容となっています。こうした原発推進教育の影響を一掃して、原発や被曝に関する科学的な教育が自主的にとりくめるようにします。

社会民主党
・約束3 原発再稼働は認めず、脱原発社会の実現を目指し再生可能エネルギーを促進します
・「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針を抜本的に改め支援対象地域を拡大し、子どもを放射能から守ります。福島の子どもたちや妊産婦の保養を支援します。
・被災県への中長期的な教職員の加配措置、全国からの自治体職員派遣増加や中途採用を増やせる交付税拡充など、被災自治体支援を強化。


担当: 林 寛平
学生: 飯島香純、大木健晴、森下結衣、加地里帆子、山田真由美

衆院選2014 教育・子育てマニフェスト比較 ⑦大学・高等教育

信州大学教育学部「比較教育学演習」の授業で、第47回衆議院議員選挙の各党のマニフェストから、教育と子育てに関する政策をまとめました。


大学・高等教育

自由民主党
・地域の発展に貢献する人材の育成、研究開発を行うことにより、魅力ある大学に生まれ変わることで、地元の高校生の入学、地元への就職を増やします。
・地方創生と人口減少化対策に資するため、国立大学運営費交付金や私学助成等により、三大都市圏への大学生の一極集中を是正し、地域の発展に係る積極的な取組みを支援します。
・国立大学運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成等を安定的に確保し、改革を進める大学及び高等専門学校を重点的に支援します。
・「専門実践教育訓練」の指定対象の拡大を図るとともに、産業界のニーズを踏まえた実践的な教育プログラムを提供する大学・専修学校等を支援します。
・大学奨学金事業における「有利子から無利子へ」の流れを加速し、返還月額が卒業後の所得に連動する「所得連動返還型奨学金制度」の導入を図ります。
・高等学校基礎学力テスト(仮称)や大学入学希望者学力評価テスト(仮称)等、高等学校教育、大学教育等を接続する大学入学者選抜を抜本的・一体的に改革します。

日本共産党
・大学と高校の入試制度の抜本的見直しに着手します
高校学区の拡大などにより、偏差値による高校の輪切りなど「選別の教育」はますます強まっています。そのことが子どもや青年をどれほど傷つけているか知れません。ヨーロッパでは基本的に高校入試を課さないなど、過度な競争から子どもの成長を守るしくみがあります。高校、大学の入試制度を抜本的に改革するための専門家、国民の検討の場をもうけ、改革に着手します。
・日本の大学入試は、大学ごと学部学科ごとに入試選抜がおこなわれるという世界に例のないような競争的な制度となっています。多くの大学が利用しているセンター入試は、短時間で多数の選択問題をこなしてその点で合否が決まる、受験科目が少なくてすめばそれ以外の科目は早くから勉強しなくなるなど、高校生たちの学習を歪める方向に作用しています。安倍政権の教育再生実行会議が、センター試験廃止の方向を打ち出した背景には、こうした制度の行きづまりがあります。しかし、それにかわって高校生を点数で小刻みテストや英語検定を課すのでは、基本的な問題は先送りしたまま、〝猫の目〟のように入試を替えて、高校生や教育現場を混乱させるだけです。ヨーロッパ諸国の大学入試にある、論述式の資格試験方式なども参考にしながら、〝ゆきすぎた競争主義からの脱却〟という立場にたった抜本改革が必要です。大学入試のあり方は、大学以下の教育のあり方を大きく規定します。日本の教育をどういう方向に向けていくのか、ひろく国民的な議論をへて、そうした抜本改革を進めます。

次世代の党
・給付型奨学金の創設を含め、奨学金制度を拡充し、希望するすべての人が高等教育を受けられるようにします。


担当: 林 寛平
学生: 飯島香純、大木健晴、森下結衣、加地里帆子、山田真由美

衆院選2014 教育・子育てマニフェスト比較 ⑥特別支援教育

信州大学教育学部「比較教育学演習」の授業で、第47回衆議院議員選挙の各党のマニフェストから、教育と子育てに関する政策をまとめました。

特別支援教育

自由民主党
・障害のある子供たちのため、教職員の専門性向上、通級による指導の充実、拡大教科書等の普及・充実、学校施設のバリアフリー化等の必要な教育条件を整備します。


公明党
④障がいのある子どもへの支援
障がいのある子どもが十分な教育を受けることができるよう、特別支援学校の教室不足の解消やバリアフリー化などの整備を進めるとともに、特別支援教育コーディネーターの配置拡充や専門性の向上、特別支援教育に対応する教職員等の資質向上を図るなど、特別支援教育の一層の充実に取り組みます。 また、発達障がい児等の教育機会を確保するため、発達障害支援アドバイザーの配置拡充を進めるなど、必要な教育環境の整備に向けた支援を拡充します。


日本共産党
・特別支援教育・障害児教育を拡充します
特別支援学校や特別支援学級などに在籍する子どもたちが急増しているにもかかわらず、それに必要な条件整備が図られていないため、各地で「教室をカーテンで仕切って二学級が使う」「できるだけ音を出さない音楽」「できるだけ体を動かさない体育」など小中学校では考えられないような事態がおきています。設置基準を設け、こうした劣悪な条件を改善するために全力をあげます。
・特別支援学校は特別支援教育体制への移行により、小中学校での教育にも一定の役割をはたすことになりました。ところがそれに伴う増員がなく、多くの矛盾がうまれています。教員定数を増やすとともに、小規模分散の地域密着型をめざします。
・特別支援学級は子どもたちの障害の複雑化に対応するため、教員を増員します。通級指導教室の編制基準をもうけ、必要な教員を配置します。通学の保障をすすめます。医療・福祉など専門機関とのネットワーク、巡回相談など地域全体の支援体制をつよめます。「子どもの最大限の発達」や「社会への完全かつ効果的な参加」を目標とするインクルーシブ教育(国連の障害者権利条約)の立場から、日本の教育制度がインクルーシブ教育にふさわしいものとなるよう、国民的な合意形成をはかり、改善を進めます。(詳しくは、「障害のある子どもたちの教育条件を改善するための緊急提案」をご参照ください)


担当: 林 寛平
学生: 飯島香純、大木健晴、森下結衣、加地里帆子、山田真由美