2021年8月26日木曜日

日本教育学会奨励賞を受賞しました

2019年に日本教育学会の機関紙『教育学研究』に掲載された論文に対して、日本教育学会から奨励賞が授与されました。

日本教育学会奨励賞

授賞対象は以下の論文です。

林寛平「比較教育学における「政策移転」を再考するーPartnership Schools for Liberiaを事例にー」日本教育学会(編)『教育学研究』第86巻第2号, 2019, pp.213-224.

要旨は以下からご覧いただけます。
https://shinshuedu.blogspot.com/2019/10/blog-post_10.html

本文はJ-STAGEからダウンロードできます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyoiku/86/2/86_213/_article/-char/ja/



(以下、2021年8月26日追記)

例年、授賞式は学会大会の場で行われていますが、新型コロナウィルスにより大会がオンライン開催となりました。そのため、2021年の大会時に授賞セレモニーが行われました。

授賞理由 

本論文は「教育の輸出」事象が広がりを見せていることに着目し、これまで比較教育学が用いてきた「政策移転」や「政策借用」という概念で想定されていたこととは異なる事態が生じていることをリベリアの公立学校でのアウトソーシングの事例分析を通じて明らかにしている。具体的には、従来の政策移転論は、その政策が移転先において「土着化」「再文脈化」したり、淘汰・絶滅したりする段階へ至るものと把握されてきたのに対して、近年の「教育の輸出」では、輸出側の収益優位性を保持するために、「土着化」を阻害し続ける作用が働いており、比較教育学はそうした現象を捉えうる新たな枠組みの構築を必要としていることが考察されています。

教育の国際開発で起きている最新の事象を取り上げて、新しいデータを収集・分析することによって、比較教育学の研究方法論を再考しようとする挑戦的な研究という点で高い学術的意義が認められます。また、「政策移転」の分析枠組みを捉え直すことにとどまらず、近代公教育と国民国家形成を結び付けた教育理解のあり様を転換する必要性をも示しており、教育学研究に広くインパクトを及ぼす可能性を有するものです。

教育のグローバル化が進展する中で、教育の輸出と輸入は政治性と商業性を帯びてさらに広がっていくことが予想され、本論文は教育学研究に有益な示唆をもたらすとともに、将来的発展を大いに期待できるものと考えます。

よって本論文は奨励賞に値すると判断されました。
(奨励賞委員長・浜田博文先生)

※抜刷を無料でお送りします※

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