2017年1月21日土曜日

教育動向: 2017年教育動向予想



アメリカの教育動向(久原みな子)

公共ラジオ局NPRで長年教育ニュースを追ってきた記者クラウディオ・サンチェス(Claudio Sanchez)が、昨年に続き今年も2017年に注目すべき教育動向予想をまとめた。また、カリフォルニア州の高校教師で、教育分野の著作もあるラリー・フェルラッゾ(Larry Ferlazzo)も同様の教育動向予想を発表している。トランプ大統領の就任によりどのような影響が予想されるのか見てみよう。

まず、サンチェス、フェルラッゾともに、学校選択を後押しする大統領とチャーター・スクール支持者の教育長官就任により、公立学校が弱体化することを懸念している。オバマ政権時に成立したNo Child Left Behind Act(どの子も置き去りにしない法/NCLB法)に替わる、Every Student Succeeds Act(すべての生徒が成功する法/ESSA)の下で、州や学区の裁量が大きくなったが、低所得家庭からの子どもの学習を支援するための連邦資金が、学校選択制を推進することでどのように配分されるようになるのか、注目される。

また、両予想が、教員組合の動きにも注目している。米国の2大教員組合がトランプ政権の教育政策のほとんどに反対を表明しており、教員組合による反対運動が活発すると予想される。また一方で、教員組合の組合費徴収と団体交渉権をめぐる争いが激化し、教員組合の団結力が試されることにもなると予想している。

さらに、サンチェスは、トランプ政権下で予測される教育財政の削減により、オバマ政権下で充実を目指していた幼児教育が犠牲になると予測している。

加えて、フェルラッゾは、トランプ大統領が、2012年に成立した、不法移民の子どもの本国強制送還遅延と労働許可を定めたDACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)プログラムを廃止した場合、不法移民の子どもたちや、DACAプログラムで教師として働く者たちにどのような影響が出るのか、注目している。





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