アメリカの教育動向(久原みな子)
連邦議会両院は12月10日、ブッシュ政権下の2002年に成立した、No Child Left Behind Act(落ちこぼれを作らないための初等中等教育法/どの子も置き去りにしない法/NCLB法)に代わる、Every Student Succeeds Act(すべての生徒が成功する法/ESSA)を賛成多数で可決し、オバマ大統領が新法に署名した。
NCLB法は、1965年、ジョンソン大統領時に制定された初等中等教育法(ESEA)の改正法であるが、この初等中等教育法は、全ての子どもが教育を受けられるよう州に財政補助を行うこを決めた公民権法のひとつで、数年ごとに議会での見直しがされることになっている。NCLB法成立の2002年以降、全米共通学力基準であるコモン・コア(CCSS)やその到達度を測る統一テストが導入され、統一テストの結果が学校と教員の評価、連邦政府からの財政支援に結びつけられるようになるにつれ、NCLB法の画一的な方法の限界が露呈し、多くの反対運動を引き起こすまでになっていた。
今回の改訂で、オバマ大統領は、「高い基準、アカウンタビリティ、学力格差縮小」というNCLB法の核となる目標は間違っていなかったことを確認したが、ESSAにより、統一テストの実施方法やカリキュラムなどにより柔軟性を持たせ、州と学区、教師たちに決定権を再び戻すことになった。
- Gregory Korte. “The Every Student Succeeds Act vs. No Child Left Behind: What's changed?” USA Today, 2015/12/10. US Department of Education. “Every Student Succeeds Act (ESSA).”
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