アメリカの教育事情 (久原みな子)
2016年秋の大統領選挙に向け、すでに出馬を決めた各候補者がそれぞれの政策・理念を打ち出し選挙活動を開始している。教育政策においては、オバマ政権下で導入され始めた、全米共通学力基準コモン・コアとその到達度を測る統一テストの是非が争点のひとつだ。
コモン・コアと統一テストの導入については、各地で教師・生徒・親たちによる反対運動が続いており、また州の足並みも不揃いで、民主党内、共和党内ともに意見が割れている。8月6日に行われた、共和党からの候補者上位10名による討論会では、コモン・コア以外の教育政策問題はほぼ取り上げられなかったが、長くコモン・コアを支持してきたジェブ・ブッシュと、断固とした反対派のマルコ・ルビオがその意見の違いを改めて明らかにした。ブッシュは、連邦政府が州の権限である教育問題に干渉することにあくまで反対であることを明らかにした上で、高い基準を維持することの必要性を強調。連邦教育省の廃止までも主張しているルビオは、カリキュラム改革の必要性を主張しながらも、コモン・コアが連邦政府の過干渉であるという意見を繰り返した。
ジェブ・ブッシュとジョン・ケーシック以外の主要候補者は、共和党の方針と違わないコモン・コア反対派となっている。スコット・ウォーカー、クリス・クリスティーらは、当初コモン・コアを支持していたのにもかかわらず、後に大統領選を見据えてか反対派に転じ、一貫性のない言動で批判を浴びていた。
- Lauren Camera. “Common Core Is Premier Education Issue in GOP Presidential Debate.” Education Week, 2015/8/6.
- Allie Gross. “How the GOP Candidates Are Flailing on Common Core. ”Mother Jones, 2015/7/6.
- Lyndsey Layton. “Chris Christie, a onetime booster, now wants to dump the Common Core.” Washington Post, 2015/5/28.
- Valerie Strauss. “Tea partiers and liberals tell Gov. Scott Walker: ‘No more games on Common Core’.” Washington Post, 2015/7/7.