2015年7月14日火曜日

教育動向: 全米教育協会(NEA)が年次大会を開催

アメリカの教育動向 (久原みな子) 

 米国最大の専門職団体であり、会員数約320万人の全米最大の教員組合である全米教育協会(NEA)の年次大会が、6月26日より10日間にわたりフロリダ州オーランドで開催され、7,000人近くが参加した。 
 各州支部からの代表組合員により広範囲にわたる100を超える事項が議決された。そのうち、各地で紛糾と議論が続いている州共通学力基準、コモン・コアと、その到達度を測る統一テストに関しての決議事項が15以上あった。決議された内容をみると、コモン・コアに反対し、統一テストの受験を拒否するオプト・アウト運動を支持するNEAの立場が浮き彫りとなった。議決された事項は、例えば、テスト作成の2大コンソーシアムであるPARCC とSmarter Balancedによる統一テストが、教員評価と学校評価に利用される限り州単位での反対運動を展開すること、すでに始まっている各州でのオプト・アウト運動を支援すること、各州での義務的な評価を拒否する権利を組合員が行使できるように教育し支援することなどである。そのほか、特に最近再度高まりをみせていた教育における人種差別問題に具体的に取り組むことなどが決議された。

2015年6月30日火曜日

北欧研修参加者が学長懇談会に招かれました

 北欧教育視察に参加した上原瑛美さんが、学長懇談会に招かれました。

 懇談会は6月9日に教育学部の学部長室で行われ、山沢清人学長、平野吉直教育学部長、知の森基金貢献会員などが出席されました。上原さんはスウェーデンの学校訪問で感じたことなど、研修の成果を報告し、研修に参加するにあたって多くの方の支援を受けたことへの感謝を述べました。

 懇談会の様子は、「信州大学知の森基金」のページで紹介されています。


教育動向: 夏休み中の食事提供プログラムが各地で始動

アメリカの教育動向 (久原みな子)

 全米の学校が夏休みに入るにつれ、各地で子どもたちに夏休み中の食事を提供するプログラムが始動している。貧困層にある子どもたちにとって、学期中に学校で、無料であるいは割引で提供される朝食と昼食が一日の食事の全てである場合もあり、長い夏休みの始まりは、そうした子どもたちにとって飢餓と栄養失調を意味している。2014年度には、全米でおよそ2150万人以上の子どもたちが、そうした無料あるいは割引の給食プログラムを利用可能な低所得世帯の出身であった。
 米国農務省は、夏休み中、こうした子どもたちに食事を提供するプログラム(The Summer Food Service Program)を展開しているが、それを利用している子どもの数は、およそ270万人程度にとどまっており、あまり活用されていないのが現状だ。このプログラムでは、普通、食事が提供される場所に子どもが行き、その場で食事をする必要があるが、多くの低所得家庭では、夏の間子どもたちは家にとどまっており、交通費が捻出できないことも多い。また荒天により提供施設が閉鎖してしまう場合もある。
 農務省のプログラム以外でも、各地の学区、学校、地域の団体が様々なかたちで多くの貧困層の子どもたちに食事を提供するため奔走している。例えば、夏の暑さと交通の不便さが問題になりがちなアリゾナ州のある学区では、低所得層の子どもが夏の間一日を過ごすことの多い地元の図書館や地区センター、学校などで朝食・昼食・おやつ・夕食を涼しい屋内で提供し、それぞれの場所で無料の子供向けの活動・イベントも用意している。コロラド州では、学区のみならず、NPOハンガー・フリー・コロラドなどの団体をはじめ、地元のコミュニティや教会の指導者、ボランティアたちが協力し、連邦政府のプログラムを拡大するとともに、地元に根ざした地道な努力を続けている。5人に1人の子どもが「いつ、どこで、次の食事が食べられるのかわからない」状況にあると言われているコロラド州では、不況の影響が厳しかった2009年に州知事と地元団体が協力し、州内の子どもの飢餓を絶滅するためのキャンペーンが打ち上げられていたが、2014年には、夏の間に提供された食事の数は150万食と、2009年に比べて95%増となった。今夏は、さらに10万5千食を追加することを目標とし、州内533ヶ所で子どもたちに無料で食事を提供している。
 


2015年6月21日日曜日

研究紹介: PISAを照らす北欧のオーロラ2009

研究紹介:

澤野由紀子ほか(監修)『【抄訳】PISAを照らす北欧のオーロラ2009―読解力を中心に』
(国立教育政策研究所, 2015) 




* 「解説: 北欧諸国はPISAをどう分析しているのか」を金沢大学学術レポジトリからご覧いただけます。(2015/09/10追記)

 2000年から3年ごとにOECD(経済協力開発機構)が実施しているPISA(生徒の学習到達度調査)では、フィンランドの好成績はもとより、北欧諸国の特徴的な結果が世界中の注目を集めている。本資料は、北欧閣僚会議が2012年に公表したPISAの分析報告書を抄訳したもので、北欧諸国の客観的な状況のみならず、当事者たちが何に関心をもち、どのように自己分析しているのかを知ることができる。

 北欧諸国は歴史的な経緯から共通項が多い。しかしながら、成績の経年変化を見ると、各国が全く違ったパターンを現している。フィンランドは毎回ずば抜けてよい結果を出していたが、2009年には顕著に点数が低下した。スウェーデンは調査ごとに成績を落とし、10年間で計19ポイントの低下が見られた。一方、ノルウェーは2000年から2006年にかけて計21ポイント低下したが、2009年には19ポイントの劇的な回復を見せた。アイスランドは上昇と下降を繰り返し、4サイクルで計7ポイント低下した。デンマークは最も安定していて、毎回若干の上下が見られるだけだった。これらの違いは何に影響されているのだろうか。もちろん、一括りに北欧と言っても、制度の細部、教育を取り巻く環境、さらに教育の文化的側面においては、各国の違いも見られる。本報告書は、この「相違点と類似点」に着目し、「分析の軸を立て、互いの結果を比較検討する」という国境を超えた取り組みであり、国際学力調査の結果の分析・活用の具体例として示唆に富んでいる。

 原著(Niels Egelund (ed.), Northern Lights on PISA 2009 –focus on reading, Nordic Council of Ministers, 2012)は9章で構成され、ジェンダー、移民の背景、社会経済的背景、読書の楽しみ、学校関連要素などの視点から各国の生徒の読解力を分析している。また、デンマークが行った追加調査(PISAエスニック2009)の結果の分析や、この間に行われた教育改革や社会状況の変化が生徒の成績に与えた影響などを分析している。本資料では、このうち、要約箇所等を除いた7章分を翻訳した。

書誌情報 (CiNii)

  書名: 【抄訳】PISAを照らす北欧のオーロラ2009―読解力を中心に―
  出版日: 平成27(2015)年3月31日
  出版所: 国立教育政策研究所
  監修・監訳: 澤野由紀子(聖心女子大学文学部 教授)
                    中田麗子(ベネッセ教育総合研究所 アセスメント研究開発室 研究員)
                    林 寛平(信州大学教育学部 助教)
                    本所 恵(金沢大学人間社会研究域学校教育系 准教授)
                    渡邊あや(国立教育政策研究所高等教育研究部 総括研究官)

※本書に関するお問合せは北欧教育研究会(hokuofc@gmail.com)まで。

2015年6月16日火曜日

教育動向: 全米教育統計センターが年次報告書を発表

アメリカの教育動向 (久原みな子)
 
 連邦教育省傘下の全米教育統計センターは5月、米国の教育に関する年次報告『教育の状況2015』を発表した。これによると、2013年には、学齢期の子どもがの5人に1人以上が連邦政府の定める貧困ラインを下回る暮らしをしているということが明らかになった。これは、全学齢期の子どもの21%、1090万人にのぼり、2000年から6%の増加であった。2013年の貧困ラインは、4人家族で世帯年収が23,550ドル以下という場合である。
 特に南部と西部において貧困率は高く、最も貧困率の高いミシシッピ州では5歳から17歳の33%、最も貧困率の低いニューハンプシャー州では9%であった。人種別では、アフリカ系アメリカ
人(39%)、ネイティブ・アメリカン(36%)、ヒスパニック(32%)、アジア系および白人(13%)となっているが、全ての人種で貧困率は上昇していた。
 米国では子どもの貧困レベルを見る大まかな指標として、公立学校での給食を無料あるいは割引で提供される子どもの率を利用することが多い。今年1月には、この50年間ではじめて、公立学校に就学する過半数の生徒が、こうした給食の割引サービスを受けることのできる低所得世帯の出身となったという報告もある。
 
 その他、年次報告書から明らかになったことは例えば以下のことである。
  • 米国が2011-2012年度に、連邦、州、地方自治体から公教育に費やした費用の合計はおよそ6200億ドルであった。2001年から2002年には およそ5530億ドルであった。 
  • チャーター・スクールに通う生徒の数は1999-2000年度の30万人から、2012-2013年度には230万人に増加した。チャーター・スクールに通う生徒のうち公立学校に在籍する生徒の割合は0.7%から4.6%に増加した。
  • 2002年の秋から2012年の秋の間に、公立小学校に通う白人生徒の数は2860万人から2540万人に減少し、公立小学校における白人生徒の割合も59%から51%になった。一方、ヒスパニックの生徒は660万人から1210万人に増加し、公立学校における彼らの割合も18%から24%に上昇した。
  • 英語を母語としないために公立小学校で英語を学んでいる生徒の割合は2002-2003年度の8.7%から9.2%に増加した。

2015年6月2日火曜日

教育動向: ニューヨーク州教育長にメアリー・エレン・イリアが就任

アメリカの教育動向 (久原みな子)
 
 ニューヨーク州の教育委員会は5月26日、元フロリダ州ヒルズボロー郡の教育長であるメアリー・エレン・イリアをニューヨーク州の教育長に任命した。前任のジョン・B・キング・ジュニアは、オバマ政権下の連邦教育長官アドバイザーに就任したため、2014年末をもって退職していた。イリアは、今年1月に解雇されるまで、過去10年間にわたりフロリダ州タンパを含む全米8番目に大きい学区で、教員評価システムの改善、教員組合との交渉など教育長として業績を上げてきた。特に、2009年には、生徒の統一テストの成績を教員の給与の一部に反映する教員評価システムを導入するために、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から1億ドルの援助をヒルズボロ-学区が受けたことでも知られる。ニューヨーク州では、フロリダ州同様、全米初の各州共通学力基準であり、ゲイツ財団が多額の援助をしているコモン・コアとその到達度を測る統一試験の導入に関して議論が続いており、
今年に入りこれに反対するため20万人以上の生徒が受験を拒否(オプト・アウト)している。イリアはニューヨーク州出身で、1970年から19年にわたり社会科および英語教師をしたのち、1989年から教育行政に関わってきた。今後は、州教育長として7000以上の小中学校を含むニューヨーク州全域の教育を管轄することになる。
 
 

2015年5月16日土曜日

デジタル教科書の可能性

 現代教育コースの「コンピュータ利用教育A」では、5月13日(水)に「デジタル教科書の可能性と課題」についての授業をしました。

 学生たちはこれまでに総務省のフューチャースクール推進事業海外のMOOCs事業ゲーミフィケーションの教育活用やビッグデータの概念について学んできました。

 ことICTに関しては、先生よりも子どもの方が先を行っていることが多くあります。教育学部の学生たちは、自分たちが近い将来教壇に立った時に、自分の知らない世界や子どもの才能にどう向き合えるのか、そんな課題意識を抱きながら、まずはこの世界に触れてみよう、ということで、90分×15回を使って、グループごとに教育アプリの開発に取り組んでいます。また、ドローンやプログラミングロボットを活用した教育実践の開発にも挑戦しています。

 今回の議論は、NHKで報道された以下のニュースがきっかけになりました。
 NHK 「デジタル教科書」導入の検討始まる (2015/05/12)

 デジタル教科書の設計については、規格の統一、マルチデバイスへの対応、クラウドの設計、膨大なトラフィックの処理などの技術面での課題に加えて、教育実践の場でどう活用できるのかという大きな課題が残されています。

 しかし、これから教員になろうとする学生が課題ばかり考えていても仕方がないので、今回は特に「可能性」について考えてもらいました。「デジタル教科書にこんな機能があったらいいな」というアイデアを集めました。(一部表現を改変しています)

教え方、学び方

ブレンディッドラーニング、反転授業への活用
  • 生徒が家にいながら、まるで教室にいるかのように授業を受けられる。今その例としてまさに信州大学ではe-learningの動画授業が導入されている。自分が好きな時間、隙間時間にできるし、分からないところを何度も見直せる。(津田 哲志)
  • 授業は家庭で取り組み、学校を復習や議論の場にすることができ、学びを深められる。(小口 真奈)
  • 不登校の児童はデジタル教科書を使えば同じ時間に異なる場所(家、保健室)で授業を受けることができて、クラスメイトと意見を共有できる。学校に通えない生徒も自宅で映像で授業が受けられる。(有馬 衿花)
ゲーミフィケーションの応用
  • タブレットを予習復習に使う際、勉強に少しゲーム感覚を取り入れる。問題をといた蓄積を確認することができ、また間違えた問題をすぐに確認できる。今まで紙媒体だと捨ててしまう自分の学びを残せる。(大橋 光貴)
  • どこまで宿題が終わったかカラーのグラフやスタンプラリーなどで表す。掛け算の九九など、継続して取り組み続けるものは、ここまで終わったと表す。今何人の生徒が勉強しているか表示する。そうすることによって生徒が競い合って学ぶことができる。(木暮 美咲)
  • 文化祭や学年等の学校行事でレクリエーションを行う際、GPS機能をつけることでIngressのようなゲームも行うことが可能だ。学年を超えた連携が生まれる。(小口 真奈) 

 

学習データの活用

ビッグデータの活用
  • 授業中や宿題でタブレット内で出題されて間違えた問題とそれに類似した問題、発展的な問題を2日や3日ごとなど一定のペースで出来るその子だけのドリルを作成。細かな解説や躓いた箇所の確認・解説がされる。さらに間違えた問題はどこで間違えたのかが記録され、教師にそのデータが集約できるようにする。(井上 楓)
  • 上記のその子だけのドリルなどで集約されたデータをもとに全国の同じ教師同士で意見交換が出来る。クラスや学年ごとに苦手な単元などを正答率などの数値で明らかにして、解決方法や同じ苦手な単元で悩んでる者との意見交換が出来るような設定。(井上 楓)
  • 問題を解いた時点で間違っている部分を指摘してくれたりヒントを与えてくれたりする。授業中だけでなく宿題を事前に添削することで、授業前に自分が苦手なところが明確になり学ぼうとする意欲があがる。教師も子どもたちがどんなところでつまずきやすいかが分かり授業作りがしやすくなる。(永井 華)
  • 自分の勉強の進度や成果を蓄積すれば、それに合わせた 、一人一人にあった学習プログラムを作ることができる。上記の添削機能と連携させれば、苦手な問題を集めたプリントやワークが作れるようになり苦手克服やテスト対策にも活用できる。また、学習記録があれば成績をテストだけの結果で判断せずにそれまでの過程を含めて成績をつけることができる。これは、子どもと教師だけでなく保護者も見ることができるようにすればテストだけでは見えづらい子どもの成長を確認することができる。(永井 華)
  • 自分がデジタル教材を使って学んできたことを蓄積していって個人個人にあった進度の学習ができるようにする。(小澤 亜美)
  • 間違えた問題がある場合、同じ問題・類似した問題などその生徒にとって必要な問題が出るようにする。データを蓄積し、不得意な分野をグラフ化し、対策に役立てていく。また、生徒にとってもデータを可視化できるようにすることはモチベーションにつながると思う。(小口 真奈)
レディメイドからオーダーメイドへ
  • 教科書は全国すべて同じものだが、子どもたちの住む地域によって教科書に記されている内容とは変わってくるところもある。例えば、社会の授業で農業を学ぶとする。都会の子どもたちにとっては、教科書に記されているカモを使った稲作などは実際に行われていない。教科書とギャップがあるのが現実だ。自分たちが学ぶ教科書を自分たちの手で創ることで、知識をより身近に感じることができる。(永井 華)
  • 自分専用の教科書に: 従来の紙ベースの教科書では、算数や漢字のドリルなどは教科書に載っているものしか、解くことは出来なかった。しかし、デジタル教科書では、子どもたちひとりひとりに合わせ、進行度、難易度などを自動で変化させることができる。子ども達には必ず個人差が生じる。今までの学習が早い子もそうでない子も同じ問題を解いていた時代は終わり、自分にあった教科書を用いて学習することができる。(川久保 春輝)
  • 教科書の練習問題を解くと採点システムをつかって自動採点してくれる。間違えやすい問題を中心に、自分だけのオリジナル問題集を作ってくれる。(田内 優貴子)
  • 問題を解いていく中で、この児童・生徒はどの過程でどのような間違え方をしたのかを記録して、その間違えに対応した解説を載せ、一人一人に対応した教科書、問題集ができる。(仲田 美幸)
学習管理システム
  • 教科書は勉強についてのみ書くのではなく、個人の進歩状況や学習達成度についても記録・管理することによって生徒のモチベーションを保つ。そして、この学習管理は教師だけでなく保護者にも定期的にメールされるようにすることによって生徒の状況を知ってもらうことがより簡単にできると考える。(木暮 美咲)
  • 日付ごと、教科ごとの宿題がリスト化されており、終わったものにチェックを入れられる機能。何が宿題で出されていたか忘れてしまった時に、見返せる。また、教師側からもそのリストを一人一人確認することが出来、誰が宿題をやっていないか一目瞭然になる。(髙野 聖衣愛)
  • 板書をそのまま保存し、さらに見やすく自動で整理してくれる機能: 暗記物は実際に手で書くことも大切だが、ノートを取ることに必死になって先生の話をしっかり聞けないということも多い。板書をそのまま保存することが出来、あとでテスト前などに見直せる。また、板書がゴチャゴチャしていたり、きれいな字で書かれていなかったりする場合は、自動でまとめ直してくれる。(髙野 聖衣愛)
評価
  • 一人ひとりがどのように教材を活用したか、授業に積極的に関わってきたかという観点を成績評価(関心・意欲・態度)に加えられる。(有馬 衿花)

 

教科書の新しい機能

GPSの活用
  • GPSを使った学習: 校外学習などをする際、グループにひとつタブレットがあればグループごとに行動させても先生はGPSで生徒の動きを把握できるため、安全を確保できるし行動範囲も広がる。(駒井 花子)
  • GPS機能を使って子どもの安全を守りつつ、校外の活動を充実させられる。子どもが撮影した写真・動画が自動で転送される機能があれば、教室外に出る時に先生がこの子がここでどんな行動をしているということが把握できる。一人一人が自分のしたいこと、行きたい場所にあわせて活動できる。何か危ない行動があるときや、そろそろ学校に戻ってきてほしいときなどは、教師がメッセージを送れる。子どもから教師、子どもから子どものやり取りもできる。今までは、子どもの安全のために校外に出たとしても、行動範囲が教師の目が行き届くところに限定されたり、集団で行動しなければならなかったりしたが、その枠組みを超えられる。子ども一人一人が主体的に行動し、異なった経験ができる。(小林 花梨音)
中継
  • 他校と中継を繋いで賛成側の学校、反対側の学校に分けて題材を決め討論を行う。(森 晴菜)
  • 生徒一人につき教育学部の大学生と中継を繋ぎ、個別指導の形態にする。(森 晴菜)
  • 外国と中継を繋いで外国人と交流する(森 晴菜)
3Dプリンタ
  • 3Dプリンタを使って地域の勉強に役立てる。航空写真などで学校周辺の3Dマップを作成。また、GPS機能を使い、子どもたちが授業で地域の探索をしたそのルートと、探索で見つけた建物やお店などを撮った写真を、3Dプリンタでその部分に色を付けた3Dマップの作成。(井上 楓)
図書館のデータと同期
  • 図書館に蔵書されている本をデータ化し、デジタル教科書からアクセスすることで、電子書籍が楽しめ、調べ物などにも役立つ。SNSを活用して、本の感想を共有したり、お薦め本の紹介する機能やアプリを作る。また、本の保存や延滞、紛失などに対する対策にもなる。(小口 真奈)
仮想空間を用いて
  • 現在では、メガネをかけるだけで、仮想空間に映像を写すこともできる。これを用いて、運動の出来ない子にもドッジボールを、脳とリンクさせることで、目が見えない子どもにも映像を見せることが可能かもしれない。(川久保 春輝)
写真・動画の活用
  • 今までは模造紙に印刷した写真などを貼り、マジックで書いて作っていたが、タブレット型のデジタル教科書ならば持ち運び可能なので、外で写真を撮って、そのデータをタブレットでまとめて発表することができる。(久保田 朱音)
宿題
  • 宿題をインターネット上に提出すると、その場で添削してもらえる。(仲田 美幸)
ノート
  • 教科書に書き込めるスペースがあり、それをノートとして活用する。ただノートを書き写すだけでなく、教科書と対応させながら学べる。(田内 優貴子)
コミュニケーションツールとして
  • ○×だけで終わらなくなる。まず、問題を解いた後の答え合わせが早くできる。間違えた部分の解説を容易にできる。また自分の解答の間違えの水準をデータで詳しく見ることが簡単になる。(小澤 亜美)
  • 黒板などで説明中、モニターにその説明についての生徒が不思議に思ったこと、分からない点などの意見が投稿され、クラス全体でその意見を共有する。(Twitterのようなイメージ)文を投稿しなくてもデジタル教科書に「?」ボタンや「!」ボタンなどを設定し、分からない時点、理解した時点でボタンを押すことで、その場でどのくらい理解できた子がいてどの子が分からないままなのかをモニター(または教師のタブレットやPC)などで可視化する。(井上 楓)
  • 先生は質問が多いところから答えるとともに、児童生徒の理解していない部分が今までより容易に分かる。家庭学習の時に、先生と一対一のチャットや、先生を含めたクラス全体のチャット、個人のチャットなどができると、分からない問題も解ける機会も増える。チャットでみんなの分からなかったところのまとめを一日に一回提示することも良いだろう。(久保田 朱音)
  • 生徒が書いたものをそのままみんなに見せて、それを使って説明してもらうことができる。説明することでより深い理解が図れるとともに、共通理解が図れる。誰でも自分の意見が言え、先生と生徒の意識疎通がしやすい。自宅学習と学校学習も結びつけが簡単になるだろう。(津田 哲志)
  • 黒板やホームルームで書いたようなお知らせをデジタル教科書に送信し、確実な連絡を行う。保護者への通知もデジタル教科書を通して送信する。(小口 真奈)

 

各教科の学習

国語
  • 漢字の書き順確認システム(田内 優貴子)
  • 教科書の中で先生がここ!というデータを送信すると、その場所が示されすぐにわかる。特に国語の授業でページや段落を言わなくてもいいのでわかりやすい。(田内 優貴子)
社会
  • 学校周辺の地形を模型にする。写真とともに、どんな街なのかを調べる「街探検」がリアルになる。(田中 晴子)
  • 関連する項目のデータの最新情報を知ることができる。毎回更新していけばそれが教材になる。その日のニュースも教科書に載せることができる。(田中 晴子)
算数・数学
  • 図形を回転させたり、体育の動画を見たり出来る。算数は図形を回転させて正面からは見えない部分を見ることによって理解しやすくなる。展開図が苦手な子が多いので活用すれば納得がいくと思う。(髙野 聖衣愛)
  • 様々な図形を様々な方向から見ることができ、立方体の切り口の問題だったら、実際に立方体を切ってみてその切り口が実際どうなっているのかを確認できる動画機能があるデジタル教科書があれば良いと思う。また、3Dプリンターとリンクさせて実際に立体図形を手に取ってみる機能も、子どもたちの空間認識力を養う上で効果的だと思う。(匿名希望)
理科
  • 石灰水の画面を用意して息をふきかけると白くなるなど。植物の発芽条件などでは複数の条件をカスタマイズして、結果をみて正しいか調べる。(大橋 光貴)
  • 生物のイモリの原基分布図の把握のために使う。3Dプリンタを使い、そこからどのように成長していくかの過程をそれぞれ作る。切って断面を把握することも可能。(田中 晴子)
  • 桜の開花時期、降雪、気温を各地域で写真付きデータを更新。生徒同士で四季を実感できる。(田中 晴子)
  • 学校ごとに違う動物を飼う。それぞれの飼育状況を共有することによって、自分の学校ではできないことも画面上で知ることができる。(田中 晴子)
  • 身の回りに咲いている植物を調べるとき、グループにわかれて校区などを歩き回り、見つけた植物を写真におさめる。GPSの機能で写真をとった場所も同時に保存される。教室に帰り、グループごとに地図にみつけた場所と植物をおとしこんでいけば、他のグループと比べてみることもできるし、植物の多く見られる場所の特徴を考えたり、植物それぞれの特徴を考えたりすることもできる。(駒井 花子)
  • 動画の導入: 理科の実験方法、家庭科の調理実習や裁縫をいつでも確認できる状態であることで文字では理解できない内容をしっかり確認できる。安全面も向上。(大橋 光貴)
音楽
  • ICTを用いて数種類の楽器からなる楽曲を作曲する。音程のチェックや音のバランス、調整が容易であることに加え、作曲した曲を自動的に楽譜化し、実際に演奏してみることもできる。(宮島 彩季)
  • 教科書に載っている外国の伝統的な楽器を組み合わせて作曲してみる。(中国と日本、韓国の伝統楽器の音色を組み合わせたらどんな雰囲気の曲になるのか)(宮島 彩季)
  • 楽譜を再生できる機能を持った教科書があれば良いと思う。音楽は感覚で身につく部分もあると思うので、「ここのリズムが分からないな」と感じたら、すぐに再生できれば、疑問をその場で解決できると思う。また、自分で楽譜を作成できる機能もあれば、音楽の楽しさに触れることができると思う。(匿名希望)
  • 教科書に音も録音されていて放課後や家でも練習ができる(田内 優貴子)
図画工作・美術
  • 学校同士での作品の共有。一つの題材でも、学校外の人のいろいろな作品を見ることができる。(田中 晴子)
  • 3Dプリンタとの連携によって、より自由で個性的な美術活動が行えたり、アニメーションや映画製作など今まで関わったことがないような活動ができる。(小口 真奈)
体育
  • 体育で客観的に自分を振り返る: 教科書に「実際にやってみよう」という空欄を設け、自分の実際に取り組んでいる姿を動画で撮り貼り付けられるようにする。そして、後でスローモーションで見たり、模範の映像と比較したりすることによって、分析・改善する。 教師もその映像を評価の参考にできる。体育の授業は自分の技量についてチェックしたり評価することは難しいが、デジタル教科書を用いることによって よりPDCAサイクルにそった授業を展開することができる。(木暮 美咲)
  • 体育はコマ送りの写真を見るだけではイメージがつかめないことも多いので一つ一つの技を動画ですぐに確認できる(髙野 聖衣愛)
  • 家庭科や音楽、体育などの実技系の教科書に載っている図を動画にすることによって、裁縫や調理方法、楽器の演奏方法などがイメージしやすくなる。(仲田 美幸)
英語
  • 英語圏に住む人たちと中継を結び、会話を楽しむ。生徒一人一人にネイティブスピーカーが一人一人つくようなイメージで、教科書に沿った内容を一緒にやったり、時には日本語を学んでいる英語圏の人々と中継を結んで、英語を教えてもらう代わりに日本語を教えるのも面白いかもしれない。(宮島 彩季)
  • 外国人と遠隔授業をすることで実生活に活かせる英語を学ぶ。(永井 華)

 

その他

荷物が減る
  • ランドセルいっぱいに詰め込み、体に合わない重さとなっているランドセルが軽くなる。子どもの体にかかる負担もかなり小さくなる。学校に来るのがより楽になる。(津田 哲志)
意欲が高まる
  • デジタル教材というだけで、生徒の意識は高くなるもので、主体的な学習態度を望める。(津田 哲志)
  • 動く画像でやる気UP: 従来の授業では、算数の立体図形、社会の工場の様子、体育のスポーツのルールなどは実際に作ったり、体験するしかなかった。しかし、これもデジタル教科書を用いることで、立体図形はCGでより立体的に多面的に見れ、社会見学に行かずとも工場の内部の様子は理解でき、体育のスポーツのルールは頭に入れた状態で授業を開始できる。(川久保 春輝)
  • 社会では地理などはとても立体的に見ることもできるためわかりやすくなるだろうし、歴史の人物が動いてくたら児童のやる気は倍増。(長谷川達也)