2016年9月3日土曜日

教育動向:私立大学のTA・RAは労働者

アメリカの教育動向(久原みな子)

8月23日、米国の労使関係を管理する行政機関、全国労働関係委員会(National Labor Relations Board, NLRB)は、コロンビア大学の大学院生による申し立てに対し、私立大学でリサーチ・アシスタント(RA)やティーチング・アシスタント(TA)に従事する大学院生は全国労働関係法(National Labor Relations Act)が適用されるべき労働者であると決定した。私立大学におけるRAやTAが労働者であるかどうかという点について、NLRBは、2000年、2004年につづき、再びその決定を翻したことになる。この決定により、私立大学におけるTAやRAは、労働組合を組織するなどの権利を有することになる。なお、公立大学においては、州法の管轄下にあり、すでに少数ながらTA・RAからなる労働組合を持つところがある。

TAやRAの大学院生は、自分の勉強・研究に加えて、学部の授業を行ったり成績をつけるなどの学部生の教育支援、あるいは研究を支援するなどの業務に従事し、その見返りとして学期中、授業料の免除と一定の給料の支払いを受けることができる。しかし、大学によっては、TAやRAの賃金だけでは生活できなかったり、TA・RAや、テニュアのない若手研究者などの低賃金過重労働に大学の業務の多くを頼っている場合もあり、各地の大学で労働組合を組織するための動きが出ていた。今回の決定に対し、コロンビア大学は、大学と学生の関係は主には教育的なものであり、労使関係ではないと反対の意を表明している。

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