2015年8月25日火曜日

教育動向: 大学スポーツの選手に給付金

 アメリカの教育事情 (久原みな子)

 アメリカでは新しい学校暦が始まる時期である。今年度より、特定の大学スポーツチームで競技する学生に対し、これまで認められていた奨学金(学費免除)、寮費、食事代、本代などに加え、給付金が支払われることになった。
 
 全米の大学スポーツ競技を管理・運営する全米大学体育協会(NCAA)は、これまで約50年にわたり、大学スポーツはアマチュアスポーツであるとし、競技をすることの対価としての支払を厳しく禁止してきた。ところが2014年には、大学スポーツがテレビ中継契約やグッズ販売などで学生の肖像を利用しているのにもかかわらず、学生にその収益が還元されていないことなどを不服とする訴訟があり、NCAAが敗訴、学生への支払いや奨学金の規定の見直しがすすめられていた。
 
 今回の改訂で、奨学金付きスポーツ選手のいる大学(ディヴィジョンIという区分)には、NCAAから合計1億8千9百万ドルにのぼる給付金が支払われることになる。こうしたかたちの給付金の平均は学生一人あたり年額平均3千ドルとみられる。例えば、ディヴィジョンIに属するスポーツチームがあるコロラド州の各大学では、コロラド大学ボルダー校のアメリカン・フットボールの選手で州内出身の学生に3200ドル、コロラド・カレッジでは、女子サッカーと男子ホッケーの選手に、1405ドル(州内の学生)が支払われる予定である。この給付金支払いをするかどうかは各大学に委ねられているが、よいスポーツ選手である学生を勧誘するためには有効な手段であると考えられる。
 
  • Steve Berkowitz. NCAA to distribute $18.9M to help pay cost-of-attendance scholarships. USA Today, 2015/7/20.
  • Rachel Estabrook. Some College Athletes In Colorado Get A (Small) Payday. Colorado Public Radio, 2015/08/15.
  • Jake New. Antitrust Loss for NCAA. Inside Higher Ed, 2014/08/11.

0 件のコメント:

コメントを投稿