2015年6月16日火曜日

教育動向: 全米教育統計センターが年次報告書を発表

アメリカの教育動向 (久原みな子)
 
 連邦教育省傘下の全米教育統計センターは5月、米国の教育に関する年次報告『教育の状況2015』を発表した。これによると、2013年には、学齢期の子どもがの5人に1人以上が連邦政府の定める貧困ラインを下回る暮らしをしているということが明らかになった。これは、全学齢期の子どもの21%、1090万人にのぼり、2000年から6%の増加であった。2013年の貧困ラインは、4人家族で世帯年収が23,550ドル以下という場合である。
 特に南部と西部において貧困率は高く、最も貧困率の高いミシシッピ州では5歳から17歳の33%、最も貧困率の低いニューハンプシャー州では9%であった。人種別では、アフリカ系アメリカ
人(39%)、ネイティブ・アメリカン(36%)、ヒスパニック(32%)、アジア系および白人(13%)となっているが、全ての人種で貧困率は上昇していた。
 米国では子どもの貧困レベルを見る大まかな指標として、公立学校での給食を無料あるいは割引で提供される子どもの率を利用することが多い。今年1月には、この50年間ではじめて、公立学校に就学する過半数の生徒が、こうした給食の割引サービスを受けることのできる低所得世帯の出身となったという報告もある。
 
 その他、年次報告書から明らかになったことは例えば以下のことである。
  • 米国が2011-2012年度に、連邦、州、地方自治体から公教育に費やした費用の合計はおよそ6200億ドルであった。2001年から2002年には およそ5530億ドルであった。 
  • チャーター・スクールに通う生徒の数は1999-2000年度の30万人から、2012-2013年度には230万人に増加した。チャーター・スクールに通う生徒のうち公立学校に在籍する生徒の割合は0.7%から4.6%に増加した。
  • 2002年の秋から2012年の秋の間に、公立小学校に通う白人生徒の数は2860万人から2540万人に減少し、公立小学校における白人生徒の割合も59%から51%になった。一方、ヒスパニックの生徒は660万人から1210万人に増加し、公立学校における彼らの割合も18%から24%に上昇した。
  • 英語を母語としないために公立小学校で英語を学んでいる生徒の割合は2002-2003年度の8.7%から9.2%に増加した。

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