2015年10月21日水曜日

宝槻泰伸氏講演会 「探求型学習で子どもが能動的に学ぶ方法論」を開催しました

  1. 実施報告

  2. 当日の様子

  3. 感想

開催のご案内はこちら


1. 実施報告

 平成27年9月26日土曜日、信州大学教育学部キャンパスにおいて、「ヤバい家庭教育―宝槻泰伸さんから学ぶ「探求型学習」で子供が能動的に学習に取り組む方法論」を開催いたしました。この講演会は「社会教育演習」の授業の一環で学生が企画・運営のすべてを行いました。

 チラシを配布した教育学部周辺の小学校の保護者の方や、折り込み広告を配布したエリアにお住まいの方、高校生や大学生といった学生にも参加していただき、合計で40人ほどの方にお越しいただきました。講演会の講師の宝槻泰伸さんは、『塾にも学校にも通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話』(徳間書店、2014)の著者でいらっしゃいます。今回は、宝槻さんご自身の経験を踏まえた家庭教育のお話や、宝槻さんが現在取り組んでおられる「探求型学習」についてのお話など、2時間講演をしていただきました。参加者同士が意見を交わしあう場も設けられ、非常に活発な講演会となりました。 講演会では、宝槻さんが普段開講しておられる「探究学舎」の授業を体験するという場面もあり、参加者の皆さんは数字の歴史について興味深く学んでおられたのとともに、こういう風に勉強すれば子どもも探求心を持って学習できるかもしれないというヒントを得ることができた方も多かったのではないでしょうか。

 「子どもの心に火をつける」「子どもの探求心に種をまく」「子供とともに無計画に驚きと感動を」など、宝槻さんからのメッセージが、参加していただいた皆さんに響いたように思います。また、講演会の満足度も94%(任意記入のアンケートで満足、非常に満足に回答した割合)と非常に高く、参加していただいた皆さんに有意義な時間を過ごしていただけたと思います。

 すべて学生での運営となり、至らない点があったかと思いますが、ご都合をつけてご参加いただいた皆様に感謝申し上げます。(学生一同)


2. 当日の様子


 会場準備の様子

 白熱した講演会
 
  講演後には講師の前に長蛇の列


3. 感想

  • 親の立場で、子どもに何かやらせるという観点ではなく、子どもの心に火をつける種まき をしてあげること、勉強になりました。
  • 教師としてどうしていくべきかという考えがより固まった ので良かった。
  • 教育は人格形成のために重要である。そのための勉強のやる気を引き出す方法は大変参考 になった。
  • 親とは違った視点で教えていただけて勉強になりました。楽しく聞かせていただけまし た。
  • まさに求めていたテーマでした。求めていた答えは半分手に入れた感がありました。
  • 子育てには、完全なマニュアルはないと思うからこそ、今日の講演は親として基本スタン スが得られ、うれしかったです。ありがとうございました。企画、準備をしていただき学 生の皆様に感謝いたします。
  • 子どもの教育方針に行き詰っていたところで、「種をまくだけでいい」の言葉に勇気づけ られました。ぜひ、長野で教室を開いていただきたいです。
  • 親として、こうでありたいと思うことはあっても、周りの雰囲気や言葉に流されてしまう 自分がおりました。本日講演をお聞きして、自分たちの親としての役目、公でありたいと 思っていたことは間違っていないと確信いたしました。自信をもって子どもと一緒に楽 しんで学んでいきたいと思います。ありがとうございました!
  • とてもたのしかったです。ただ聞くだけではなくて、参加している感じがとてもよかった です
  • 探求心を持たせるために、親として、もっと子どもと関わる必要性を学んだ。
  • とてもよい講演会だったと思います。学生さんだけの運営で大変かと思いますが、次回も あればぜひ参加したいです。
  • たくさんのヒントを頂けて満足しています。「驚きと感動を一緒に、無計画に」という点 が納得しました。ありがとうございました。
  • 子どもの心に火をつける。すごくハッとした言葉でした。
  • とても楽しかった。探求の種を心に植えさせてもらいました。
  • 親としての役割を考えさせられた。「人生の挑戦」など大切な言葉をありがとうございました。種をまくところは、社会と理科、ということ、「驚きや感動」を持った子がどうな るかなど、大切なことを教えていただき、ありがとうございました。
  • 探求心の種をまける親になるためにはどうしたらよいかと言うことをすごく考えさせら れました。自分の探求心の乏しさを痛感させられる講演会でした。
  • 「探求教育」という言葉をはじめて聞きました。子どもの畑に種をまくことが果たして自 分の子どもたちに出来ているのか自問自答しています。「驚きと感動」を一緒に共有して いた経験を振り返ったときに子どものスポーツを思い浮かべました。
  • 面白かったです。子育てはほぼ終わっている年齢ですが、よかったです!
  • あれをやれ、これをやれと言わず、一緒に楽しんでいこうと思います。ありがとうござい ました。

 運営に当たった学生スタッフと記念撮影

 
平成27年度「社会教育演習」受講生 
 
木寺 祐貴、高橋 明日美、西村 香奈子
剣持 佳季、柳瀬さやか、箕輪 美里
 




2015年10月20日火曜日

教育動向: ビル・ゲイツがゲイツ財団の教育分野での活動についてスピーチ

アメリカの教育動向(久原みな子)

 10月7日、ワシントン州ベルビューで行われたビル&メリッサ・ゲイツ財団主宰の教育フォーラムで、ビル・ゲイツが財団のこれまで15年間にわたる教育分野での仕事についてスピーチした。

 ゲイツ財団は、2000年代初頭、ハイスクールの規模縮小化を皮切りに教育問題に着手した。のちにオバマ政権誕生と足並みを揃えるかのように、教師の質こそが生徒の学力向上に影響を与える要素であるとして、教師評価システムの確立とコモン・コア・カリキュラムと学力テストの開発・導入に力を入れてきた。1999年からこれまでに、ゲイツ財団はおよそ40億ドルを教育へ費やしてきたと言われる。

 今回のスピーチでは、財団がこれからも教師の質の向上とコモン・コアを使った学力テストに注力していくことを確認した。しかし、これらに関する最近の議論がまるで、「学力テストの結果のみを使った教員評価か、あるいは全く使われないか」という両極端の選択であるかのようになっていることは問題視しており、学力テストの結果は、授業観察や生徒からのフィードバック、同僚教師や校長からのフィードバック・指導などといった他の要素とともに、教師の評価と昇進を決める様々な要素のひとつとして使われるべきだと主張した。

2015年10月6日火曜日

教育動向: ダンカン連邦教育長官が12月辞職を表明

アメリカの教育事情 (久原みな子)

 10月2日、連邦教育長アーン・ダンカンが12月に辞職する予定であることを明らかにした。

 オバマの地元であるシカゴの出身で、バスケットボール選手としても活躍したことのあるダンカンは、シカゴ公立学校のCEOを務めていた1990年代からバラク・オバマとはバスケットボール仲間として親交があり、2008年のオバマ内閣成立以降も、友人として、また教育長としてオバマ大統領から厚い信頼を寄せられていた。しかし、昨夏より妻カレンと2人の子どもたちがシカゴに戻り、子どもたちはシカゴ大学付属実験学校へ入学、妻は同学校で働きはじめたため、ダンカン長官は週末をシカゴで過ごしワシントンDCとの間を行き来するという生活を続けていた。今回の辞職は、そうした生活にピリオドを打ち、家族と過ごす時間を増やすためであるとされている。

 教育長官としてのダンカンは、Race to the Topプログラムを通した公立学校改革で、チャーター・スクールとコモン・コアを使った標準テストの導入を推し進めてきた。こうした政策により、連邦政府の教育介入に反対する共和党と、教師の評価にテスト結果が使われることに反対する教員組合員の多い民主党両党から批判を浴びることもあった。また、自身の子どもたちが、コモン・コアを使わず、標準テストの結果で教師が評価されることもない私立のシカゴ実験学校に通っている皮肉を指摘されていた。

 ダンカンは、歴史上最も長く在職した教育長官であり、今回の辞職により、2008年のオバマ内閣成立時から変わらず在職している最後のメンバーの1人がワシントンを去ることとなった。ダンカンの後任には、副長官ジョン・キング・Jrが指名された。