2017年6月30日金曜日

教育動向:銃と学校


アメリカの教育動向(久原みな子)
 

銃乱射事件と銃の事故が後を絶たないアメリカでは、学校で教師が生徒の命を守るために銃を携帯するべきかどうか、またそれ以外のどのような安全対策・危機管理が学校でできるかという点に関して議論が続いている。市民による銃保持の権利保護を目指す全米ライフル協会(National Rifle Association:NRA )は、子供向けに、エディー・イーグルというマスコットを起用した「銃を見つけても触らない、その場を離れる、大人を呼ぶ」を基本方針とする銃使用に関する教育プログラムを行っている。また全米各地に、市民の武器保有・携帯を認める憲法修正第2条を擁護する団体などの援助や警察との連携のもとに、現役教員に銃使用の訓練を行う研修などもある。公共の場での銃の携帯を許可している州の多くでは、大学を含む公立学校での銃の所持を原則として禁止していない場合もある。他方、教室での銃携帯は銃による事故を増やすだけであるとして、Educators Demand Actionなど、学校での銃携帯を推進する動きや政策に反対する団体も各地に存在する。また、大学や小中学校などでも、武器を持った不審者侵入に対する訓練やワークショップを定期的に行っているところもある。銃の使用をめぐる自治体や学校単位での方針の行方とともに教育プログラムや訓練の効果と弊害についても議論が深まっていくことが期待される。

  • 学校関係者向けの銃使用訓練を展開する団体FASTER(Faculty / Administrator Safety Training & Emergency Response): http://fastersaveslives.org/


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